研究課題/領域番号 |
19K02694
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
松井 典夫 奈良学園大学, 人間教育学部, 教授 (10736812)
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研究分担者 |
岡村 季光 奈良学園大学, 人間教育学部, 准教授 (00750770)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熊本地震 / 令和2年7月豪雨災害 / 心のケア |
研究実績の概要 |
本研究では、児童生徒の安全に資する(それは児童生徒の命に直結する)、「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」のプログラム を開発するために、①「包括的な学校安全」の要素と内容における妥当性の検証と修正及び確定し、②「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」の成立要件の明確化を行い、③②に基づいた「包括的な学校安全プログラム」のモデルプランの作成と実践、検証し、④「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全プログラム」の開発を行うという計画で研究を進めている。今年度においては、②「包括的な学校安全」の成立要件の明確化として、「災害安全」の分野では熊本県で調査を実施した。調査では山都町教育長と会談を行い、熊本地震における防災教育の進捗状況、児童生徒の心のケアについて具体的な方策や結果について話した。また、「令和2年7月豪雨」によって甚大な被害のあった球磨川、人吉市、球磨村を訪問し、実地調査を実施した。本調査では、被災者や学校の実際の声を聞くところには至らなかった。それは、いまだに被災地であり、支援を要する状況だからである。12月の報道で、球磨村教育委員会が実施した児童生徒へのアンケート調査では、「村内の小学生の45%が心のケアが必要」とされ、「嫌な夢を見る」や「自分を責めてしまう」などの症状が出ていることが明らかになっている。引き続き調査を継続し、「包括的な学校安全」の成立要件として、被災後の児童生徒の心のケアの必要性、教員の伝承、防災教育の効果について知見を得ていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、児童生徒の安全に資する(それは児童生徒の命に直結する)、「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」のプログラム を開発するために、①「包括的な学校安全」の要素と内容における妥当性の検証と修正及び確定し、②「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」の成立要件の明確化を行い、③②に基づいた「包括的な学校安全プログラム」のモデルプランの作成と実践、検証し、④「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全プログラム」の開発を行うという計画で研究を進めているが、現状においては②「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」の成立要件の明確化について進めており、モデルプランを作成するに至っていない。本研究では「達成されるべき包括的な学校安全」の仮説として、Aー安全教育、Bー安全管理、Cー組織活動、Dー道徳教育、Eー健康管理を挙げている。このうち、Bー安全管理における「学校・地域の環境」やEー健康管理等について、調査が進んでいない。その理由は、コロナ禍における学校の休業要請、あるいは海外渡航制限で、予定していた調査を進めることができなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
現在においては、②「有効性」と「持続性」を持つ「包括的な学校安全」の成立要件の明確化について、いくつかの要素における調査を進めようとしているところである。コロナ禍における学校の実態や国内外における調査が難航しているが、事情が好転すれば直ちに調査を実施し、「包括的な学校安全」のモデルを作成し、実践、検証していく予定である。 また、Aー安全教育について、「有効性」と「持続性」の要素の検討として、「総合的な学習の時間」を活用した「探究型学習」のモデルを、小学校教員と協働して作成しているところである。本モデルの「有効性」と「持続性」が明確になれば、本研究における「包括的な学校安全」モデルの作成と推進について前進することが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における状況において、必要な調査、視察等を実施することができず次年度使用額が生じた。 特に、本研究における「包括的な学校安全」の要素として挙げているEー健康管理における国内外調査を実施することができなかった。これはSARSにおいて学校の健康教育も含めて先進的で有効な取り組みをした台湾の取り組みについて実地調査を予定していたが、実施できていない。 次年度においては、コロナ禍における状況が好転すれば、実地調査としての旅費等必要経費として使用していく計画である。
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