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2020 年度 実施状況報告書

言語分析力を育成し国語文法力向上に寄与する国語データ駆動型学習教材開発の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K02700
研究機関千葉大学

研究代表者

安部 朋世  千葉大学, 教育学部, 教授 (00341967)

研究分担者 西垣 知佳子  千葉大学, 教育学部, 教授 (70265354)
橋本 修  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30250997)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード言語分析力 / 文法力 / 誤用 / 複文 / 連文 / データ駆動型学習(DDL)
研究実績の概要

2020年度は,以下のことを行った。
①分析ポイントの明確化について:2019年度に行った児童生徒の作文コーパスに出現する誤用の種類と数量についての調査を踏まえ,2020年度は,対象を帰国子女児童作文と日本語学習者作文に広げ,それぞれに出現する誤用の種類と数量を比較し,特徴を考察した。その結果,非母語話者作文では語彙に関する誤りの比率が高いことや,帰国子女において文体に関する誤りの比率が高い等の結果が得られた。また,語彙の誤りについて,非母語話者の誤りと母語話者の児童生徒の誤りとのあいだに質的な差があることも確認された。また,「ので」と「だから」,「が」と「しかし」を中心に,複文と連文との書き換えが可能か(自然な文になるか)否かを分析し,複文と連文との間の書き換えに関する課題について明らかにした。複文と連文との書き換えに関する課題は,作文において一文が長い場合の書き換え等に関連し,全国学力・学習状況調査にも取り上げられる課題である。
②教材作成:2020年度は,主語と述語との関係について学習する国語科DDL教材と主述の対応が不適切な文の修正に関して学習する国語科DDL教材を作成し,小学校1年から4年を対象とした授業実践を通して,効果と課題を分析した。
③実践と検証:誤用調査に関する分析・考察,複文と例文との書き換え等に関する分析・考察のそれぞれについて,海外を含む学会で口頭発表を行い,有益な指摘を得ることができた。また,それらの指摘を踏まえて考察を進め,論文2本にまとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

以下に示す進捗状況から,やや遅れていると考える。
①については,小・中学生の実態調査に加え,帰国子女児童作文,日本語学習者作文を対象として誤用調査を行い,小・中学生,帰国子女,日本語学習者と,日本語に関する様々な事情を有する学習者に対して多角的に分析することができている。②については,新型コロナウイルス感染症の影響もあり,実践を依頼した学級が小学校低学年及び中学年のみとなった点で,やや遅れが生じたと考える。行った実践については、①で明らかになった課題のうち,主語と述語との関係に関する課題についての教材作成と授業実践を行うことにより,作成したDDL教材の効果や課題等について明らかにすることができた。③については,海外の学会を含む複数の学会において口頭発表を行うとともに,その一部を論文2本にまとめることができた。

今後の研究の推進方策

2021年度の研究計画と推進方策は以下の通りである。
①について:平成29年告示学習指導要領に基づく中学校国語及び英語教科書と指導書を購入し,既に調査を終了している平成20年告示学習指導要領に基づく教科書との異同を調査する。また,2019年度及び2020年度に行った誤用調査や校正力調査などを必要に応じて追加して行い,分析ポイントの明確化を図る。文法的な観点を中心に内容面も含め対象を広く設定し,児童・生徒の実態に即した分析ポイントの抽出に努める。
②について:2020年度の実践において明らかになった課題を踏まえ,教材作成を進める。作成した教材の有効性を検討する授業実践においては,新型コロナウイルス感染症の影響により,予定していた実践が困難になることも想定される。進捗状況の遅れにも繋がるものであるが,教育現場における教育を最優先に考え,現場との連絡を密にし,授業実践の時期については現場の事情を優先させて決定する。学校現場で活用できる教材の開発を目指し,必要に応じてオンライン授業への応用などについても検討を行う。
③について:研究の成果について学会発表及び論文投稿を行い,研究の客観性を図る。学会発表においても新型コロナウイルス感染症の影響が想定されるが,できるだけ発表の場を得て研究の客観性を得るようにする。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は,新型コロナ感染症のため,発表を予定していた学会が中止またはオンライン開催となり,予定していた旅費の使用がなくなったこと,また同じく新型コロナ感染症の影響により,データ入力作業等の依頼が困難となり,人件費・謝金の使用が予定より少なくなったことから,残高が生じることとなった。2021年度も新型コロナ感染症の影響により旅費等の使用が少なくなることが予想されるが,オンライン対応の費用や可能な範囲でのデータ入力作業等の費用として使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 児童生徒,日本語学習者,帰国子女の作文における誤りの比較2021

    • 著者名/発表者名
      安部朋世・橋本修・西垣知佳子・田中佑・永田里美
    • 雑誌名

      千葉大学教育学部研究紀要

      巻: 第69巻 ページ: 205-209

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multiple Simple Sentences or a Single Complex Sentence?2020

    • 著者名/発表者名
      Osamu Hashimoto ・Tomoyo Abe・Michimasa Kanno
    • 雑誌名

      日本言語文化

      巻: 第53輯 ページ: 5-25

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 連文か複文か2020

    • 著者名/発表者名
      橋本修・安部朋世
    • 学会等名
      韓国日本言語文化学会2020年度春季国際画像シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 母語話者と非母語話者における作文の誤りの比較2020

    • 著者名/発表者名
      安部朋世・橋本修・永田里美・田中佑・西垣知佳子
    • 学会等名
      第139回全国大学国語教育学会秋期大会(オンライン)

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公開日: 2021-12-27  

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