研究課題/領域番号 |
19K02701
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
倉持 清美 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (30313282)
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研究分担者 |
妹尾 理子 香川大学, 教育学部, 教授 (20405096)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
佐瀬 茜 (叶内茜) 川村学園女子大学, 生活創造学部, 講師 (80849092)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家庭科 / ふれあい体験 / 小学生 / 調理実習 |
研究実績の概要 |
2019年度は、家庭科保育学習のふれあい体験で、児童・生徒が乳幼児に関わるときに、どのような点を評価できるか、あるいは評価したらよいのかを、既存の保育評価項目などを参考にしながら、検討した。また、小学校の家庭科における、小学校低学年児童とのふれあい体験について分析を進め、家庭科教育学会などで発表した。小学校6年生が、低学年児童と一緒に調理実習をすることで、どのようなかかわり方をして、何を学んでいるのかを、生徒の書いたナラティブや質問紙調査から検討した。特別活動でも、低学年との交流は行っており、家庭科でのふれあい体験とは何が異なるのかを探るのも、研究の一つの目的であった。 家庭科で学んだ調理実習を活動の軸に据えたふれあい体験のカリキュラムを開発することとした。ふれあい体験前には、6年生だけで調理実習を行い、手順ごとに低学年に対してどのような配慮が必要になるのかをグループで考える取り組みも行った。また、すでに実習の体験がある6年生が、低学年児よりは技能も知識もある調理実習を低学年児とともに取り組むことで、自信をもってかかわることもできるのではないかと予測した。その結果、6年生は自信をもって低学年児童と接することができることや、かかわりの中でどのような点に気を付けたらよいか、具体的なかかわり方の工夫ができることがわかった。また、何かを作るという目的を共有することで、自由遊び場面よりも活動しやすく、関わることがしやすそうであった。 低学年児童に教えることで、6年生は尊敬されたり自分の行動に自信をもって活動したりすることができていた。特別活動の自由遊びでは、6年生がもっている知識や技能などを披露する機会が少ないが、調理実習では難しいことも手際よくこなしていく6年生の「すごさ」を1年生に示すことができたからだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学生でのふれあい体験の授業を開発し実施し、生徒のナラティブやワークシート、中学生や高校生との養護性の違いを調べるための質問紙調査などを実施している。これらの調査により、各学校種では、ふれあい体験で何を目指し、どのようなふれあい体験、保育学習を展開していけばよいのかが提示できると考える。また、評価項目を検討することで、各学校種で、どのようなかかわり方を期待すればよいのか、そのために、事前事後の授業で何を学ぶ必要があるのかを検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
授業や評価項目を検討する中で、「児童虐待」を予防するために、家庭科の保育学習では何ができるかを検討する必要性があることが認識された。かかわり方を学ぶこと、乳幼児の発達を理解すること、様々な支援の存在を学ぶことは、すべて児童虐待の予防につながるが、そのような視点を教師が持って、授業に取り組むことができているかどうかが重要である。そうした視点を持って、授業が展開できるような、教材の開発や授業カリキュラムの開発が必要とかが得られる。そのためには、現状として、「児童虐待」と保育学習が教員によってどのようにとらえられているのかを調査する。そのうえで、生徒のかかわり方として、各学校種で何を求めたらよいのかを検討し、教師が評価し授業に活かせるようにするための、資料を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、発表予定の学会が、遠方であったため、予算を残すこととした。研究協力者も含め、研究成果を報告しに、北海道で開催される家庭科教育学会に参加予定であった。
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