研究課題/領域番号 |
19K02703
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松原 道男 金沢大学, 学校教育系, 教授 (80199843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 評価システム / 学力調査 / 学習状況調査 / 自己組織化マップ / カリキュラム・マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究では,学力及び学習状況調査の関係を分析するシステムの開発を行うことにより,学校のカリキュラム・マネジメントに役立てることを目的としている。令和2年度は,開発したシステムによる分析結果を学校に提示しながら,学校のカリキュラム・マネジメントの方向性を示すことにより,システムの有効性について検証することを予定していた。しかし,コロナ禍の中にあり,学校のマネジメントも従来の方向と異なるものとなった。そこで,過去のデータも入手しながら国の学力調査及び学習状況調査に加え,石川県で行われている学力調査及び学習状況調査のデータをもとに,開発した分析システムにより分析を行い,これまでの学校の取り組みの効果や現在の学校の状況について情報を提供することにした。たとえば,分析対象の中学校においては,2018年度の国及び石川県の学力調査・学習状況調査の本システムによる分析結果と,2019年度の分析結果を比較することにより,これまでの取り組みの効果について分析を行った。その結果,学校が2019年に力を入れてきた取り組みが有効であることが示された。また,分析対象の小学校において,令和2年度のコロナ禍での国や県での学力調査と学習状況調査を分析し,コロナ禍における子どもの実態を分析することができた。たとえば,令和元年の分析結果では,発表や話し合いといった項目と学力との関係は高く,またそれらの活動がよく行われるといった好ましい状況であった。令和2年度においても同じくこれらの項目と学力の関係が認められたが,それらの活動が十分でない状況が明らかになった。以上のように,開発したシステムによって,学校の取り組みの効果や状況を把握し,カリキュラム・マネジメントに役立てていけることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度については,小・中学校の学力調査及び学習状況調査のデータを入手し,分析した結果の提示から学校のカリキュラム・マネジメントの方向性を示すことによって,役立つかどうかの聞き取りを行う予定であった。令和2年度の学力調査・学習状況調査は,コロナ禍での調査になり,学校においても予定していたマネジメントと異なる対応を余儀なくされた。そこで,学校によっては,過去のコロナ禍前までのデータからこれまでの取り組みについての状況を学校に提示することにより,今後の学習状況などの取り組みについての方向性を示すことができた。また,学校によっては,コロナ禍において,どのような学習状況が学力と関係し,従来と異なる状況でどのような影響が考えられるのかといった結果を示すことができた。そして,コロナ禍において可能な改善についての情報を示すことができた。以上のことから,開発したシステムは,学校のマネジメントに有効な情報を与えることができる結果を示すことができたと思われる。これらのことから,おおむね計画通りの研究が進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度については,これまでに分析を行った何校かの小・中学校の学力調査,学習状況調査の令和3年度のデータを入手し,学校のカリキュラム・マネジメントによる変容について明らかにする予定である。また,完成したシステムの利用法と,具体的な分析データ,結果のマップなどの解釈の事例,さらにそれをもとに学校において行った授業改善やカリキュラム・マネジメントの事例をまとめた報告書を作成する。システムの操作法とマップの解釈については,説明動画を作成する。これらの報告書及びシステムとシステムの操作法の動画をUSBメモリに収め,教育関係者に配布する。また,開発したシステム及び報告書はすべてweb上に公開し,ダウンロードできるようにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会がオンラインになり、旅費を使用しなかったためである。これらの学会等の成果公表分を補うために、次年度においては、研究成果の報告書、webにおける公表の充実を図るために使用する予定である。
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