研究課題/領域番号 |
19K02705
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
片山 紀子 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 教授 (60342169)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生徒懲戒 / 規則 / アメリカ / 日本 |
研究実績の概要 |
アメリカの学校の規則や生徒懲戒制度について研究を行い、わが国の学校に示唆を見出すということが本研究の目的である。初年度は、研究を行ったところまで学会発表し、その後論文にまとめて投稿を行ったところである(掲載が認められれば2021年になる予定)。 論文は, 社会経済的に不利な立場にある子どもを視野に入れながら,アメリカの近年の懲戒制度についてまとめたものであり、具体的内容は以下の通りである。近年のアメリカの傾向として罰の有効性については疑問視される状況が進行しており,応報的な罰から修復的なものを含んだ懲戒に変化している。とはいえ,一方で規則を明確に定め,懲戒も毅然と実行しており,いじめ等のハラスメントも生徒懲戒の対象に加えられており,子どもや教員の学習環境や勤務環境を保障するタスクと不利な立場にある子どもを包摂するタスクの両方を同時に遂行しようとしている。 わが国の懲戒制度を再構築する上では,社会経済的に不利な立場にいる子どもを視野に入れ,問題行動を起こす当事者の権利も承認するが,その周りにいる子どもの安全や権利も承認し,同時に教師の安全や権利も含めて相互に承認し合うことがその前提となる。懲戒にはそれに付随するカウンセリングやプログラム等も必要とされるであろうし,その一方で周りにいる子どもや教師の安心・安全も保障する必要があるのである。どこに着地点を見出すにしろ,その解決に向けては担当スタッフの確保等経済的コストが生じようが,優秀な教員の確保を含めて学校を持続可能なものとするには,そうした点も含め多角的な視点から議論を重ね,目を背けることなく施策を考える必要がある。 以上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で、わが国での調査等が自由に行えない環境にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
再度、アメリカの現地調査を行い、現実に生じている課題をインタビューすること、および国内での規則や生徒懲戒に関するインタビュー調査やアンケート調査を新型コロナが収束したあとに行っていきたいと考えている。比較のために北欧の学校における規則や懲戒制度を現地調査することも検討している。 国内の調査の対象としては今の所、神戸市を考えている。神戸市教育委員会にはご理解いただいているので調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1万円ほど残っているが、次年度の調査費に当てたいと考えている。
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