研究実績の概要 |
本年度は、校則の変更を検討課題に据えつつ、そこから見える生徒指導の抱える今日的課題について明らかにしたいと考え、各学校で校則やその指導に関して中心的立場にある生徒指導主事にアンケート調査を行うことにした。 研究方法としては、関西圏都市部にある公立小中学校および特別支援学校の生徒指導主事を対象(小中一貫校等含む)に、自由記述を含むアンケート調査を行い、それらをもとに校則の変化や生徒指導主事の抱える課題について検討した。並行して、校則をなくした中学校(西郷2019)として知られる、東京都世田谷区桜丘中学校の前校長および現副校長にもインタビューを行った。 具体的には、令和3(2021)年11月上旬から12月中旬にかけて、関西圏都市部にある5つの市の公立学校計1,036校(内訳:小学校675校、中学校314校、義務教育学校8校、特別支援学校39校)の生徒指導主事(本稿では小学校においても一律に生徒指導主事と記す)を対象とした郵送方式によるアンケート調査を行った。生徒指導主事の立場にある者は各校1名のため、アンケート対象者はアンケート配布校と同じ1,036人ということになる。回収の結果、414名から回答が得られ、回収率は40.0%であった。 その結果、調査時点では校則の変更はマイナーチェンジにとどまっていることがわかった。教員間の価値観にばらつきがあり、それが変更を妨げるネックとなっていたのである。校則のマイナーチェンジは単に校則の変更が微細なことにとどまるだけはなく、視点を変えれば、子どもが学校から離れるのをみすみす見過ごしてしまっていることになる。ただ、その背後には生徒指導の仕事が過剰に多いことも要因としてあることがわかり、生徒指導の仕事については精査が必要だといえる。
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