研究課題/領域番号 |
19K02716
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
三保 紀裕 京都先端科学大学, 経済経営学部, 准教授 (80604743)
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研究分担者 |
松尾 智晶 京都産業大学, 共通教育推進機構, 准教授 (70468297)
寺田 盛紀 京都先端科学大学, 経済経営学部, 客員研究員 (80197805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インターンシップ / 予期的社会化 |
研究実績の概要 |
インターンシップの有効性を大学生,企業の新入社員,の双方から明らかにするために,当該年度では(1)測定指標の理論的精査と検討(三保・寺田担当),(2)調査フィールドの交渉ならびに調査実施(三保・松尾担当),(3)予備調査結果の分析並びに分析結果の一部報告(三保・松尾担当)を行った。そして上記(1)~(3)のうち,(1)(3)に関連して2件の論文報告,3件の学会発表を行った。 2件の論文はそれぞれ名古屋大学,京都先端科学大学の紀要に掲載されたものである。その内容はインターンシップの有効性について大学教育の観点から検討するにあたり,非常に参考となるドイツのデュアル課程,そして高等教育段階の職業教育におけるデュアル志向教育の効果について着目したものである。そして,3件の学会発表はいずれもキャリア教育学会にて発表されたものである。その内容はわが国の大学と雇用の間の「移行」関係、インターンシップ自体の特性の把握(比較特性の理解)に着目したもの,そしてインターンシップの実習前後に実施した予備調査からインターンシップの効果について探索的に検討を行ったものである。 また,当該年度実績において得られた成果の一つは測定指標を定義することが出来た点にある。本研究では大学教育の観点に加え,組織社会化(組織に対する初期適応),プロアクティブ行動(組織適応における主体的行動)の概念を援用し,インターンシップの効果を測定するための指標を定義することが出来た。また,これを基に大学生,企業の新入社員共にそれぞれ500名を越えるデータ収集を行った。データ収集においては特に,インターンシップの期間に着目し,未経験者,1日インターンシップ経験者,短期インターンシップ経験者,長期インターンシップ経験者を大学生,企業の新入社員共にそれぞれ100名単位で調査することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度計画において予定していたのは(1)調査フィールドの交渉,(2)測定指標の検討,(3)大学生,企業の新入社員を対象とした調査,(4)企業の人事担当者に対するヒアリング調査,の4点であった。このうち,(4)については現在実施できているのが1件のみであるが,(1)と連動して交渉を行っており,今後件数を追加していくことが可能である。その他,(2)については理論的精査を踏まえて指標を定義した(三保・寺田担当)ほか,(3)については大学生,企業の新入社員共に順調にデータ収集を行うことができた(三保・松尾担当)。多様なインターンシップについて着目する上で重要となる期間別(経験無し,1日,短期,長期)についてもそれぞれ3桁を越える人数を確保することができ,今後縦断調査を実施していく上での基礎となる人数の確保に成功している。これらの点から進捗状況を判断すると,概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は当初の計画通り,2019年度に調査した大学生の追跡調査を行う予定である。調査対象者は大学を卒業し,企業へ就職をした者たちとなる。しかし.コロナウイルスの影響により,企業活動にもさまざまな影響が出ていることが予測される。そのため,調査実施時期については改めて交渉の上,追跡調査を行う方向で計画を立てている。合わせて,調査項目については2019年度に検討した項目に加え,2020年度独自の影響を踏まえた項目を盛り込んだアンケート調査を実施する予定である。企業の人事担当者に対するヒアリング調査についても同様である。アンケート調査は三保・松尾が,ヒアリング調査については三保がその中心的役割を担う。 また,2019年度に実施した調査データについては,現時点でも大学生と企業の社員の比較を中心とした分析が可能である。そこで,この点を中心とした検討を行い,成果については学会等で発表していくと同時に,今後の調査計画にも活用する予定である。 成果発表については国内外の学会への発表を予定しており,これについては三保・松尾・寺田の全員で調査結果の分析・報告を行っていく。また,論文化についても同時並行で行い,学会誌等への投稿についても全員で進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張予定の変更ならびにインタビュー調査が予定よりも少なかったため,この分が次年度使用額に繋がっている。 次年度計画については調査データ収集,学会等発表を目的とした国内外の出張を予定していたが,コロナウイルスの影響を鑑み,状況が落ち着いた時期をみて国内を中心とした出張(調査目的)を予定している。
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