本研究の目的は,第一に小学校における若手,中堅,ベテラン教師を対象に,授業力量の下位力量である「単元開発力」「授業展開力」「授業評価力」「単元再構成力」の4つの具体的力量が授業実践と同僚との協同省察の往還により,どのように学習が深化し,実践化が促進され,授業力量の熟達化が図られていくのか,その特徴を明らかにし,生涯を通しての授業力量の熟達化過程のメカニズムを明らかにすることである。第二に明らかにした授業力量の熟達化のメカニズムを適用・応用し,若手,中堅,ベテランの各年齢層に応じた効果・効率的な研修プログラムを開発することにある。 研究4年目の本年においては,県内に公立小 中学校の連携協力校があるため,その中のA中学校の連携協力校において,AR(アクションリサーチ)を実施した。A中学校において,1学期に単元として9時間、2学期に単元として6時間の理科の単元開発に関するARを実施し,授業研究における若手,中堅教師との科学的思考力の育成を目指した単元開発を協同して行った。そして授業観察,ビデオデータの収集,協同省察におけるリフレクション等を行い,ICレコーダーによる協議の記録,実践に関する各実践者のインタビューデータ等を収集した。そして省察の視点を基盤に授業力量の熟達化に関する分析を行いそのプロセスの一端を明らかにした。その結果の一部は,学会発表,論文等にまとめるとともに,リーフレット作成を行い,関係機関に配布した。また大学のリポジトリにも登録して,その成果の普及に努めた。
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