研究課題/領域番号 |
19K02730
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
福田 喜彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30510888)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 市民性育成教育 / 歴史教育理論 / 比較教科教育史 / 日韓比較 / 『歴史教育』 / ソウル大学校師範大学 / 市民性育成 / 歴史教育研究会 |
研究実績の概要 |
本研究は,東アジアにおける市民性育成教育の視点から歴史教育の理論的構築を図るために,現代日韓の歴史教育理論を比較教科教育史的に解明することが目的である。本研究の全体計画と到達目標をもとに,市民性教育の起点を踏まえて,戦後の日韓の歴史教育理論を1950年代から1990年代までの4つのタームに区分して分析する。本年度の研究成果は以下のようである。第一に、ポストモダン時代の歴史認識と歴史教育の理論研究では、ヨーロッパ中心主義の克服に加えて、新文化史やジェンダー史の視点が歴史教育の課題となったことである。第二に、大衆的記憶を創出する装置として絵画、映画、博物館など多様な視覚的・空間的な問題を取り扱う研究が歴史教育言説を再構成する方略に出現したことである。第三に、韓国の歴史教育課程の改定に伴って、「韓国史」の必修化と「東アジア史」の新設が新たな歴史教育論争を生み出したことである。今後は、比較社会系教科教育史研究の観点から2010年代以降のグローバル化した世界における歴史教育研究が市民性を育成する日韓の歴史教育理論にどのような影響を及ぼしていったのかを検討していくことが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度のリサーチクエスチョンである「現代日韓の歴史教育が実践的な側面から市民性育成を図ろうとしてきただけでなく,理論的な側面からも教科教育学研究がどのように進められてきたのか」をもとに,歴史教育理論の成熟期の東アジアにおける現代日韓の歴史教育理論を比較教科教育史的に解明し,市民性育成教育の視点から歴史教育の理論的構築を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,これまでの4つのリサーチクエスチョンを精査し、1990年代から2000年代の日本と韓国の市民性教育の発展と比較しながら考察することで,現代日韓の歴史教育が実践的な側面から市民性育成を図ろうとしてきただけでなく,理論的な側面からも教科教育学研究として進められてきたことを解明するため,歴史教育理論に関する上記の考察に加えて、2010年代の分析をもとに,5つのタームからみた歴史教育理論史研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画で取り上げた著作物や歴史教育雑誌の収集及び整理,電子媒体によるデータベース化,歴史教育の理論と実践の分析及び体系化の基礎的作業,原史資料の劣化や散逸の防止,本研究での史資料の活用の効率性の向上などの目的のために,以下の研究経費の計上を予定している。 ①史資料購入費,②歴史教育関連図書及び社会科教育関連図書購入費,③パソコン購入費,④データベースソフト購入費,⑤ホームサーバー購入費,⑥バックアップ用HDD購入費,⑦カラーレーザー複合機購入費 まず,本研究で必要となる史資料の収集・整理のために,①,②などの経費が必要となる。次に,収集した史料を電子媒体で記録し,データベース化を行い,整理・保管するに当たり,③,④,⑤,⑥などの経費が必要となる。③に関しては,モバイル型パソコンを購入して,史資料の収集・整理の利便性を向上させる。また,高機能カラーレーザー複合機を活用した史資料の読み取り,研究成果の学会報告及び発信のために,⑦の経費が必要となる。COVID-19の影響により,本年度に計上した経費の中で予算執行できなかった経費については,次年度に繰り越して使用する。
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