研究実績の概要 |
これまでに、自然観を構築させる芸術の働きを6層から検討し,その実相を質的な分析から構造化し,生命をコアとした『芸術の6層』による教育を提示した。そして,実践学と心理学の協働による質的・量的な相互分析から「生命のイメージ」を課題に形成される意味を示した。 本研究では,日本各地及び諸外国の学校,園,施設との協力によって得られた実践記録と,日本と欧州,アフリカでの実践を基に,6層のプロセスと作品,言語化されたインタビュー及びポートフォリオ,事後の記述を用い,諸言語と造形に生まれる齟齬を表面化させ,融合的,統合的な解釈から芸術において生成される意味を客観化させ(アート・メデュエーション),「知としての自然観」を検討する。2019年度は,主にアフリカ(タンザニア)において実践と資料収集をおこない,造形(色,形),言語(日本語,スワヒリ語)を用い分析を試みた。2020年度は,日本の小学校において実践と資料収集,及びアフリカとの比較鑑賞をおこない,子供の言語と造形をとおしたアート・メデュエーションをおこなった。2021年度においてその実践と内容を検討した。 成果として生活・文化及び環境を背景とした表現の相違点と類似点をみることができた。その内容は,色の表現や,扱われる題材に相違は見られるが,環境との関係性を表す内容や,生活経験を基にした統合的,全体的な自然観に共通点が見られる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたドイツでの実践及び資料の収集が困難となり,旅費,材料費,人件費等において未使用となった。2022年度において,資料収集と分析を行う。
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