研究課題/領域番号 |
19K02742
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 教授 (00456617)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食作用 / 昆虫 / 血球 / 高等学校 / 生物基礎 / in vitro法 / アワヨトウ / 蛍光インク |
研究実績の概要 |
令和2年度の計画に従い以下の1と2の結果を得た。 1.これまでに開発した「昆虫の血球を使った食作用の観察・実験」において、令和元年度高等学校で計3校17時間、令和2年度は計3校14時間に及ぶ授業実践を行い、生徒にアンケートを行ったところ、100%の生徒が、アワヨトウ幼虫の血球が異物としての墨粒を、細胞内に取り込み食作用している様子を観察することができたと答えた。しかしそのうち4割の生徒は自分で見つけることができたが、6割の生徒は先生やアシスタントの学生の補助が必要であったという結果を令和2年度も得た。そこで令和元年度に異物を墨粒から蛍光インクに変更し、顕微鏡上の試料にUVライトを照射して観察・実験を行う新しい教材を開発したが、UVライトやフレキキシブルアームの必要数が令和2年度に準備できなかったため、授業実施を行うことができなかった。そこで蛍光インクに代わる異物としてアクリル絵の具を取り上げ、教材開発に取り組んだ。アクリル絵の具の色、濃度、反応時間等を検討した結果、実験方法はin vitro法(澤と中松,2014)、材料は青色の水性アクリル絵の具、濃度は2mg/ml 0.9%生理食塩水、反応時間は15分が最も良い条件として設定された。 2.界面活性剤であるtween20を使った無固定観察技術(Takaku et. al.2013)を用いて、血球の形態観察を走査型電子顕微鏡を用いて行った。しかし血球の大きさに対してそれをコーティングする皮膜が厚すぎたため、血球の微細構造を観察することができなかった。今後は血球をコーティングする皮膜について検討し、血球による食作用の瞬間をリアルタイムで捉えることのできる教材の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたが、高等学校における「昆虫の血球を使った食作用の観察・実験」の授業実践を行う中で、墨粒を食作用する血球を自身で見つけることができる生徒が半分にも満たなかった。そのため、生徒自身で観察可能な蛍光インクを用いた教材開発をすでに行っていたが、今年度はUVライトやフレキシブルアームを準備することができず実行することができなかった。そこで異物として墨粒を使った方法と同様の方法で、生徒自身で食作用した血球を見つけることのできる教材の開発に着手した。 教材を開発することには成功したが、その結果令和2年度計画の進捗状況がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の目標は令和2年度で到達できなかった以下の課題の検討を行う。 1)昆虫の血球の食作用をリアルタイムで観察できるin vitro実験法の教材開発を最初に行う。この検討は令和元年度開発した血球による食作用の観察を、異物として墨粒またはアクリル絵の具を用いたin vitro方法をもとに検討する。-(中松、澤担当) 2)無固定観察技術を使った昆虫の血球表面を被う薄膜について検討を行う。この研究についてはかなり高度な技術を擁するので、引き続き研究協力者の名古屋大学の大井氏とともに検討する。-(中松、澤、大井担当) 3)走査型電子顕微鏡(SEM)の低真空における画像の適否の検討を行う。これは血球による食作用の瞬間をより詳細に観察するため、まずは固定した試料を用いて写真撮影し、これらがこの探求活動の教材として適しているかどうかの検討を行う。-(中松、澤担当) 教材を開発できれば順次高等学校や博物館などで授業実践を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の進捗状況で述べた理由により、無固定技術による血球の食作用の観察の教材開発が進まなかったため、次年度使用額が発生した。 また、新型コロナウイルスの影響で、学会がオンラインになったことや遠方の高等学校や名古屋市科学館における実践ができなかったことがその理由に挙げられる。 令和3年度は、新型コロナウイルスの影響の如何によるが、上記の金額を使用して教材開発および授業実践による教材の適否を確かめていく予定である。
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