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2020 年度 実施状況報告書

自助・共助を意識した幼児の防災教育実践研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K02743
研究機関大阪大谷大学

研究代表者

地下 まゆみ  大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (20406804)

研究分担者 岡 みゆき  大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (20511893)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード幼児期 / 防災教育 / 体力・運動能力
研究実績の概要

幼児期の防災教育は領域「健康」に位置づけられているが、子どもの体力・運動能力に応じた防災教育の実践は少ないといえる。本研究で行った保育者対象のアンケート調査においては、多くの就学前施設にて外遊びや運動遊びが取り組まれていることが明らかとなったが、それらの遊びは防災教育に関連した視点や内容は含まれていない。この外遊びや運動遊びの時間を防災教育の一環として有効に活用できる。ただし、活用するために重要な点は、保育者の防災意識であると考える。
幼児期の防災教育のカリキュラムを考案することを本研究の最終目標としている。大阪近郊を中心とした251人の保育者対象のアンケート調査では「設定保育での防災についてのカリキュラムを構築する際、設定保育に防災に関する内容を取り入れることが難しいと思われる要因は何か」という問いに対し、「幼児期の子どもの防災教育の知識・技術が少ない」33%、「設定保育として行う時間が少ない」25%、「年間カリキュラムの防災教育・訓練だけで十分である」19%、「他の設定保育との関連性がない」18%という回答が得られた。大地震など自然災害の際には瞬時の判断力が必要であり、基本的な正しい知識と命を守る方法を体得させる機会の設定と備えへの意識の向上を図らなければならない。特に命を守る方法を子どもに体得させる機会や子どもの状況判断力を養うことができるプログラムの開発は重要である。幼児期の子どもの発達に沿った、保育者が日常行っている保育に容易に取り入れられる防災教育のカリキュラムの構築に向けてこれまでの実践を具体化することが今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度は、幼稚園・保育所・認定こども園における防災教育の現状と課題を知るために質問紙によるアンケート調査ならびに防災教育を意識した運動遊び等の活動を実施している協力園での視察・インタビュー調査を計画した。アンケート調査については、カリキュラムを立案するにあたり、子どもに接している個々の保育者の考えを知ることにより、年間行事としての防災教育から設定保育としての防災教育に位置づけられる可能性があると考えた。そのため、調査対象だけでなく依頼方法なども検討し直接回答者への依頼・説明を行い実施した。
2年目となる今年度は回収したアンケート調査の全集計を行い、各項目について分析し結果を論文にまとめた。一方で、協力園での視察・インタビュー調査として国内外での視察の実施を予定していたが、新型コロナウイルスによる感染が拡大し、緊急事態宣言が発出されたことや所属研究機関の方針、社会的状況を踏まえ実行できなかった。特に1年目より予定していたフィリンピンでの防災教育に関する調査については、一時延期したが、両国の感染状況から再延期することになった。感染の状況によって研究が進められない中、オンラインで開催された国内学会にてこれまでの研究について発表した。幼児期の子どもたちと共に被災した経験のある保育者から幼児期の防災教育に必要な事項に関する聞取りが防災教育のカリキュラムの評価に有効である。また、保育者を目指す学生を中心に幼児と同じ体重の人形を使用し避難の際の速度を計測する等、実践を行いデータの集積も行っている。国内外での実践が困難な場合は、調査結果を踏まえ、4歳児・5歳児の各年齢における体力・運動能力と防災教育を連携した具体的なカリキュラムを配信する冊子体または動画資料などを総括として作成するよう研究計画を変更し成果をまとめる予定である。

今後の研究の推進方策

今後の地球温暖化に伴う自然災害の多発・拡大が懸念されている中、先駆的な幼児期の防災教育の在り方が求められている。保育所・幼稚園・認定こども園といった就学前施設における自然災害に対する防災教育は、非日常的な避難訓練などの実施と防災につながる行動を身につける園生活の中での遊びを中心とした保育活動の展開の 2 点が必要であり、保育内容領域「健康」だけではなく、保育内容 5 領域すべてに関係している。今後の防災教育では、例えば地震発災後に道路が陥没したり瓦やブロックが散乱したりしているような場所から避難したり、水害時に増水した水の中から安全に避難したりなどを具体的に学んでもらえるように行いたい。子どもの身体的特徴、いわゆる頭が大きく腕・脚が短く転びやすいことをふまえ、体力・運動能力を考慮した子どもの自助力、自ら考えて行動できる力を高める防災教育が必要であることがこれまでの研究を通して明らかになった。令和3年度は、立案しているカリキュラムの評価を行うため、協力園にて立案したカリキュラムを試験実施し、保育者・保育者養成校教員などの第3者からの評価を基に、さらに検討を重ねる計画である。そして、最終的には、研究協力園ならびに防災教育を実施している園の活動報告を含め、研究者・保育実践者・保護者らが参加可能な成果報告研究会の実施を予定している。しかし、新型コロナウイルス感染状況による社会的状況の好転が望めない場合は、令和2年度から延長している国内外での視察・研究発表だけでなく、カリキュラムの試験実施も困難になる可能性がある。この場合は、4歳児・5歳児の各年齢における体力・運動能力と防災教育を連携した具体的なカリキュラムを配信する冊子体または動画資料を制作し、成果報告研究会(オンライン)での報告に変更し、対応したい。

次年度使用額が生じた理由

令和元年度は保育所・幼稚園・認定こども園を対象に郵送による質問紙調査を実施し、国内外での防災教育を意識した運動遊び等の活動を実施している協力園の視察を予定していた。令和元年度予算として質問紙調査の調査経費を計上していたが、調査対象と調査紙配布方法を熟考しアンケート調査を実施したため、想定していた期間より実施期間を要することになった。そのため、回収できた全回答の集計・分析に必要な諸経費を令和2年度分に移行した。
令和2年度は、協力園の視察を行うにあたり、国内の協力園にて実践させていただくことを計画し、受け入れていただける状況であった。また、国内外での視察調査の実施ならびに質問紙調査を含めた研究成果の学会発表を計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、国内外の出張の自粛となり、協力園での実践・国内外での視察調査が延期となった。加えて国内での学会発表もオンライン開催に変更となった。令和2年度に実施できていない国内外の視察調査・試験実施ならびに学会参加のための旅費ならびに4歳児・5歳児の各年齢における体力・運動能力と防災教育を連携した具体的なカリキュラムを配信する冊子体または動画資料の作成費用として計上する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 幼児期における防災教育の実践に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      地下まゆみ・岡みゆき
    • 雑誌名

      大阪大谷大学幼児教育実践研究センター紀要

      巻: 11 ページ: 35-44

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 保育現場における防災教育の検討 ~保育者のアンケート調査より~2021

    • 著者名/発表者名
      地下まゆみ・岡みゆき
    • 学会等名
      日本幼児体育学会 第 1 6 回大会

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公開日: 2021-12-27  

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