本研究課題では,小・中学校の体育授業での授業改善を目指して,(1)コミュニケーションの可視化データを授業者に提示する授業フィードバックシステムモデ ルの構築,(2)フィードバックシステムの効果検証,および(3)児童生徒の学習成果の検証することを目的としている. 2021年度は,新型コロナウイルスの影響が続く中,小学校や中学校での調査が困難ではあったが,予定していた調査の多くを実施することができたことは成果であったと考えられる.2021年度は,研究代表者の勤務大学の附属小学校,札幌市内公立小学校,北海道内小学校・中学校において,体育授業でのコミュニケーション調査を実施し,その結果をSlackやPanoptoで北海道全域の教員や教員養成系大学の学生たちと共有することで,オンライン上での授業カンファレンスを実施した.オンラインでの授業カンファレンスでは非同期型のディスカッションを設定することで,授業のポイントが焦点化しやすく,授業改善に向けた詳細で具体的なフィードバックを行うことが可能であった.一般的な対面での授業見学および授業検討会と比較して,議論の結果がその後の授業に直接的に効果が現れると考えられる.2021年度では,教員養成系大学での模擬授業について,学生たちが主体となって授業分析・効果解析,オンラインでのデータ共有,オンラインでの非同期型ディスカッションを企画・運営することで,学生たちの主体的に学ぶ姿勢を引き出すことにつながった.また,学生たちの取組に対して,大学教員,附属学校教員,公立小学校・中学校教員がディスカッションに参加し,大学と教育現場が連携した授業検討会が実現したと考えられる.今年度の研究結果については,北海道体育学会の学会賞の受賞理由のひとつとなった.また,研究成果については書籍化・論文化によって公表することができた.
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