研究課題/領域番号 |
19K02750
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
井實 充史 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20277776)
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研究分担者 |
高橋 正人 福島大学, 人間発達文化学類, 特任教授 (00809189)
佐藤 佐敏 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10510167)
澁澤 尚 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60344826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | おくのほそ道教材 / 和歌・漢詩の読み比べ / 対話的学び / 源氏物語教材 / 探究的な学び |
研究実績の概要 |
本研究は、古文と漢文を共に取りあげた教材の開発と、その教材を活かせるような言語活動を取り入れた指導法の開発を目的とする。研究2年目の本年度は、①新しいカリキュラムの実践と検証、②新カリキュラム第二次案の作成、検証授業、中間報告、③新カリキュラムの展開と深化の3つを計画した。 ①について、第一に「おくのほそ道」単元教材を開発し、福島大学附属中学校教諭・上野友寛が授業実践を行った。それを踏まえて、澁澤尚が漢文教育の立場から授業者向けの注釈及び解説を刊行した(「『おくのほそ道』序文「月日は百代の過客」小攷」、「言文」68、2021.3、福島大学国語教育文化学会)。第二に和歌と漢詩の読み比べの単元カリキュラムを開発し、福島県立原町高等学校教諭・大堀真理子が授業実践を行った。それを踏まえて、井実充史が第一次単元教材に修正・追加を施して刊行した(「外国文化との関係を理解するための和歌教材の開発」、上掲「言文」68)。これらの研究過程は、第一次カリキュラム(P)→授業実践(D)→修正・追加(C)→論文の刊行(A)というPDCAサイクルを形成している。 本来であれば、この後に②として論文に基づく授業の再検証を実施するべきところであるが、コロナ禍の影響で実践と検証の時間が十に確保できず、割愛せざるを得なかった。 ③については、これまでの研究成果を踏まえ、教材や対象学年を拡大したり、異なる指導法を取り入れたりしながら、教材研究の深化、学習論・指導論の深化、新たな教材の開発等を行い、以下のような成果を得た。佐藤佐敏「古人と対話する和歌のオマージュ―国語の授業における古典との豊かな邂逅」、髙橋正人「高等学校「古典探究(Advanced Classics)」における探究的な学びの深化に関する研究―「若紫」における視線・顔認識・フランス語訳・映像テクストをめぐって―」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症対策のため検証授業の一部を割愛せざるを得なかったが、中学校・高校において各1単元分の検証授業を実施し、中学校についてはオンラインによる授業公開を行うことができた。また、それらの検証授業を踏まえて、4つの論文を刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請時における令和3年度の計画は、①展開・深化したカリキュラムの実践と検証、②全体の成果報告である。今後もこの計画で推進する予定であるが、新型コロナウイルス感染症の状況によっては、昨年度と同様に検証授業の実施が困難になることも予想される。学会等の開催を予定している成果報告会についても同様である。今後の状況を見ながら、検証授業や成果報告の実施の在り方(縮小、オンライン化など)について検討しなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり、公立校で行う検証実践が不可となり、その実践に費やす予定であった出張と授業分析に関する謝金が発生しなかったため。また、予定していた学会参加がすべてリモートとなり、その出張旅費が発生しなかったため。 次年度は、コロナの状況をみながら、実践研究を推進し、その出張や謝金に使用していく計画である。
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