研究課題/領域番号 |
19K02753
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
青山 浩之 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (40323919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育学 / 言語力 / 言語的表現力 / 書字 / メタ認知書字方略 / 国語科書写教育 / 書教育 / 文字 |
研究実績の概要 |
本研究は、国語科の「文字を書くこと」に関する学習の効率化・最適化を図るために、これまで別立てのカリキュラムとして行われてきた書写学習を、国語の言語活動の学習などと効果的に関わらせ、「言語力」や言語的「表現力」の育成に機能するよう再組織することを目的とする。そこで令和元年度は以下のように研究を進めた。 1.問題の所在と理念の明確化: 従来の文字・表記・語句等の学習及び言語活動場面に応じた国語学習と書写学習のカリキュラムについての問題点を検討し、整理した。その上で、従来の言語事項(言語関連事項)及び国語、書写の教育学研究論文や関連する著述を収集・整理し、従来とは違った観点や方法から新たに提案する「書字学習」の理念を明確にし、カリキュラム編成の原理をまとめた。 2.育成を目指す書字能力の措定: 新たに提案する「書字学習」の理念に基づき、関連諸科学の知見や方法にも拠りながら考察を進めた。特に、学習者研究の視座を取り入れ、学習者のメタ認知的側面から育成を目指す書字能力の措定を行った。メタ認知的側面から明らかになった学習者のメタ認知書字方略は、新たに提案する「書字学習」で育成を目指す書字能力の措定に対し、枠組みや構造を捉えることに有益に機能した。 3.学習内容の確定と組織: メタ認知的側面から措定した育成を目指す書字能力と関わらせ、「言語力」や言語的「表現力」の育成に機能する学習内容とその組織化について考察を進めた。 4.以上を通して新たに提案する「書字学習」のカリキュラム案(第1次案)を作成。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、文字・表記・語句等の学習や国語の言語活動と書写学習との関連性を検証し、新たな「書字学習」として組織し直した上で、そのために必要な学習内容やカリキュラム及び教授法の開発を行うことを目的としており、研究期間内に、以下の2点を行うこととしている。 1)「言語力」育成に機能する新たな「書字学習」の枠組みを提案し、国語科の「文字を書くこと」に関する学習の効率化・最適化を図る。 2)書写学習を、国語の言語活動の学習などと効果的に関わらせ、「言語力」や言語的「表現力」の育成に機能するよう再組織する。 今年度は、1)の「言語力」育成に機能する新たな「書字学習」の枠組みを提案するためのカリキュラム原案(第1次案)の作成まで進めており、次年度の検証に結びつけるところまでを達成している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において研究期間内に明らかにする点である、 1)「言語力」育成に機能する新たな「書字学習」の枠組みを提案し、国語科の「文字を書くこと」に関する学習の効率化・最適化を図る。 2)書写学習を、国語の言語活動の学習などと効果的に関わらせ、「言語力」や言語的「表現力」の育成に機能するよう再組織する。 のうち、次年度は、新たな「書字学習」の枠組みを提案するためのカリキュラム原案(第1次案)を実践的・理論的に検証する段階へと進める。特に、フィールド・ワークによる調査を重視し、実践的な検証を行った上で、心理学的測定法等をもとにした分析・考察を通してカリキュラム原案(第2次案)の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、特に、資料整理等の作業を研究代表者本人が行い、それに関わる人件費を使用しなかったため、当該助成金が生じた。また、調査や成果発表に関わる旅費についても当該助成金以外で充てることができ、今年度の支出を抑えることができた。 次年度は今年度生じた当該助成金も含め、人件費を有効に使用して資料整理等の作業を遂行する計画である。また、旅費も有効に使用し、フィールド・ワークによる調査研究を有意義に展開する計画である。
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