2023年度は、2022年度の織りと編みの教材開発を延長し、特に編みの教材研究をおこなった。その理由は、沖縄の編みは、沖縄独特の植物である月桃、藤蔓もどき、蓬莱竹、また茅といった雑草で、身近な生活用具をつくりだすことでおこなわれてきたことを知ったからである。それらの文化を自分で体験することで、昔から人びとの日常生活のなかにあった工夫、努力、つくる楽しさを実感することができたことは、2023年度の大きな成果であったといえる。 沖縄の編み文化のなかでは特に竹細工に注目し、沖縄市で竹細工工房を営む工芸士に師事し、沖縄独特のバーキ(かご)などを実際につくることで、それらの技法を体験し習得することができた。また素材となる蓬莱竹は、日本国内で沖縄から鹿児島までの温暖な地域にのみ生育するもので、粘りがあり折れにくく、竹細工に適した素材であることを体得することができた。沖縄本島北部、東村に、実際に工房の方々と、蓬莱竹を採集に行き、その生育の特徴を、沖縄独特の自然環境のなかでとらえることができたことは、大変有意義であった。 ただ、沖縄の編みの文化は、後継者がなかなか育たず、沖縄独特のさまざまな種類のかごをつくることのできる人はほとんどいなくなっている。2024年度も、私は工房に通い、それらの技術を受け継ぐ努力をしていきたいと考えるようになっている。 さらに2023年度は、これまで研究してきた成果を本にまとめ、『沖縄の染め織り実践講座ーたのしくチャレンジ!紅型・糸づくり・植物染め・織りと編み―』と題し、書籍を刊行することができた。
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