研究課題/領域番号 |
19K02768
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
小出 禎子 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (70600211)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域の社会ネットワーク / 地域組織と活動 / 地域の情報共有 / 学校と地域の連携・協働 / 校長のリーダーシップ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域の情報ネットワークの実態を解明し、そのネットワークが学校と地域の連携・協働に及ぼす影響を明らかにした上で、校長による地域の情報ネットワークの活用のあり方を検討することである。 2020年度の研究実績は、研究課題1「地域の情報共有の実態調査」のうち「地域住民が情報を共有する場や機会の事前調査」を継続したことや「地域組織への参加状況」の一部を調査することができた。具体的には、これまでに収集した資料から、地域における組織の把握や今後の現地における詳細な調査の対象組織を選定したことである。また、主要な地域組織への住民の参加状況も調査できたことである。特に参加状況を把握するためのデータには個人情報が含まれている場合もあり、現地で地域関係者とともに確認しながらデータ収集を行った。これにより、対象地域の社会ネットワークを分析する基本データを作成することができた。 これらの調査で得られた成果は、1多様な組織がある中で、特に活動が活発な組織がいくつも存在することが確認できたこと、2市町村合併によってもなお基盤となる地域組織が継承され、活動が活発であることが把握できたこと、3住民は複数の地域組織に所属しており、組織が重層的に存在していることが確認できたこと、4地域がより一層活動を活発化させるため、組織の在り方を絶えず模索していることが把握できたこと、5地域には、地域の存続発展と学校の存続という強い要望があり、その要望を実現するために様々な活動や取り組みに協力する住民が多数存在することが把握できたこと、6地域の課題解決のために必要であれば現在の体制の中に新たな活動組織をつくり、必要が無くなった時点で廃止するという組織経営がなされていることが確認できたこと、その一方、7地域住民から強い要望が出されれば、新しい組織が作られていることが把握できたことなどである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究はデータを収集するのに直接地域関係者や学校関係者に会ってインタビューを行うという調査が中心である。しかし、CVID-19の影響により、出張や県を越える移動の自粛要請が出されたこと、調査対象地が県外であること、学校が対応に追われている中で校長にインタビューができないこと、インタビュー調査対象の学校関係者や地域関係者が新たな対応を迫られ多忙になったことなどから、今年度は研究課題1のうち「地域組織への参加状況調査」を完了できなかった。また、CVID-19の影響により、例年どおりの学校行事の実施や地域住民の参加がなされなかったため、研究課題2「地域住民の学校への参加状況調査」についても見送らざるをえなかった。そのため、現在までの進捗状況を遅れているとした。遅れている部分については、CVID-19の感染状況や自粛要請などの措置に沿って判断し、調査可能となった時点から実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究計画は次のように予定している。 出張や県を越える移動の自粛要請が解除され、調査可能となった時点から、課題1「地域の情報共有の実態調査」を再開する。具体的には、これまで収集したデータの整理と、まだ収集していないデータを収集し、その結果を再度地域関係者と確認する、2収集したデータから社会ネットワーク分析を行い、地域の情報ネットワークモデルを描出する、3地域の組織リーダーや地域活動に参加している地域住民のキーパーソンにインタビューを行い、活動内容や活動頻度、他のメンバーの参加状況、 関わり方、学校からの情報に関する認知状況を明らかにする、5可能であれば地域住民にも地域組織や活動への参加状況や関わり方、学校からの情報の認知状況、意見や感想などのインタビューを行う、7学校関係者、特に校長にインタビューを行い、地域組織や活動との関わり方、課題を明らかにする、8引き続き関連文献資料の収集と整理、新たな資料の発掘などを行う。そして、課題2「地域住民の学校への参加状況調査」を開始する。具体的には、1校長や組織代表者、市職員にインタビューを行い、学校行事や地域行事の数、目 的、活動内容を明らかにする、2住民にアンケート調査を行い、学校行事や地域行事への参加状況を明らかにする。その他、可能な限り、今回のCVID-19の影響による地域と学校との関係、活動状況についてもインタビュー調査を実施する。また、情報機器や情報ネットワークを活用し、現地に出向かず調査できる方法を模索し、実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は現地でインタビュー調査することが中心であり、地域関係者や学校関係者に直接会う必要がある。しかし、CVID-19の影響により出張ができなかったことが大きな理由である。特に調査対象地が県外であり、県を越える移動や出張の自粛、対象地域に感染者がほとんど発生していないこと、学校が対応に追われている中で校長にインタビューができないこと、学校関係者が新たな対応を迫られ多忙になったことなどがあげられる。 今後は、CVID-19の感染状況や自粛要請などの措置に沿って判断し、可能となった時点から現地調査を行い、旅費として使用する予定である。また、調査が進めば、データの整理等に人件費や謝金を使用する予定である。
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