本研究の目的は、地域の情報ネットワークの実態を解明し、そのネットワークが学校と地域の連携・協働に及ぼす影響を明らかにした上で、校長による地域の情報ネットワークの活用のあり方を検討することであった。しかし、CVID-19の影響により地域活動や行事が自粛・縮小され、地域住民にはインタビュー調査ができず、地域の情報ネットワークの実態解明は進展しなかった。そのため、調査対象を元・現学校関係者や地域代表者に変更した。また、再開した地域活動や行事、協議会などに参加することで、具体的に学校と地域が連携・協働している場面の観察を行った。これまでの調査結果から、校長は既存の地域の情報ネットワークを活用するだけでなく、新たなネットワークを構築しつつ、学校と地域の関係を構築し、信頼関係を結んでいることが確認できた。そこで、複数の校長を対象に、「子どもがこの学校に通いたい、子どもをこの学校に通わせたいと思う魅力ある学校づくり」という共通のビジョンを基に、「学校と地域をつなぐ」というミッションを達成するためにそれぞれの校長がとった戦略を分析し、校長の行動やリーダーシップに4つのパターンがあること、そして、戦略の違いは校長の学校観、地域観、学校と地域の関係性の捉え方や役割の認識の違いが背景にあることも明らかにすることができた。そして、パターン化された4つのリーダーシップの特徴を、リーダーシップの先行研究を基に明らかにした。特に学校と地域を一体として捉えている校長のリーダーシップに着目し、サーバント・リーダーシップの先行研究から定義や特質を整理した上で校長の会話や行動を分析した結果、サーバント・リーダーシップが発揮されていることが明らかになった。
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