研究課題/領域番号 |
19K02771
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
濱谷 佳奈 大阪樟蔭女子大学, 児童教育学部, 准教授 (60613073)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ドイツ / 宗教教育 / 道徳教育 / 学力 / 多様性 / 倫理・哲学科 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
本研究は、ドイツの学校教育に注目し、多様性を包摂する「倫理・道徳教育」と「学力形成」をめぐる構造とその意義を解明することを目的としている。 2020年度は主として文献調査を中心に研究を進めた。研究成果としては、第一に、学校教育において「多様性」がどのように捉えられているかを検討した。具体的には、「多様性を尊重」する教育の観点から、ドイツの実践哲学科コアカリキュラムと教科書を日本の学習指導要領や教科書と比較して分析し、ドイツでは「個々の多様性の根拠を問い、合理的な行動を取ること」を重視していることが確認できた。 第二に、社会の「多様性」への応答として、宗派別の宗教科が分化する潮流と、世俗的な倫理・道徳教育を重視すべきとの主張とが存在しているところが、ドイツの倫理・道徳教育の現在の姿である。各々の「信仰」を志向する諸州では、信仰や世界観の多様性が積極的に尊重された結果として、制度的には倫理・道徳教育の分化が進んでいる。それに伴って、教科間の連携や宗教・宗派間の対話がいっそう求められている。これに対して、「世俗主義」を志向する倫理・哲学科を連邦レベルで正規に導入すべきという意見も根強いことが明らかになった。 第三に、OECDの主導するコンピテンシー志向の学習観が、倫理・道徳教育を担う教科にどのような影響を与えているのかを検討した。二州の事例に焦点を当て、州憲法や州学校法、州のカリキュラムの分析を進め、伝統的な学力には含まれてこなかった社会面、動機面、意志面、道徳面等の非認知能力に対してどのように取り組もうとしているのかを整理できた。 以上の研究成果をさらに発展させ、次年度には倫理・道徳教育と学力形成との関係を検討していくことが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
必要な文献を収集し、文献レベルの分析を進めることができた一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、訪問調査を中止せざるを得なかった。このため、研究対象とする重点的教科や学校での教育活動に関する参与観察を延期している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに実施できなかった初等中等教育段階を中心とする参与観察ならびに学校関係者へのインタビュー調査を実施する準備を進めつつ、文献研究やオンラインで可能な情報交換等に力を注ぐ。とりわけ、これまでの研究成果を発展させ、非認知能力の領域の一つとしての民主主義社会に向けた市民性の育成への取り組みに関して検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度および当該年度に予定していたドイツでの調査研究を、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたドイツの学校休校措置等により延期せざるを得なかったため。次年度使用額は、ドイツでの調査研究が可能となった後に、計画通り旅費として使用する計画である。
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