研究課題/領域番号 |
19K02775
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
宮川 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (70552610)
|
研究分担者 |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
市原 靖士 大分大学, 教育学部, 教授 (20572837)
島田 和典 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50465861) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | Society5.0 / 教員養成 / プログラミング / 統合型システム思考 / STEAM |
研究実績の概要 |
本研究では,「情報システムと人間と共生,協働する社会[超スマート社会・Society 5.0]」において必要となるコンピテンシー(能力)と考えている「システム思考」(ITとものづくりを統合させた見方・考え方に基づき,論理的思考力や創造性を発揮するための思考概念)と,「ESSシステム思考」(ICTを活用していく上で安心・安全の確保[Ensuring Security and Safety)]を図るための中核となる思考概念)について,「情報の科学的な理解」に基づく両者をクロスした「統合型システム思考」を備えた教員養成の在り方について実践的に究明することにしている。 2019年度は,主にプログラミング・データサイエンス等を履修する教員養成教養科目の開発・評価,「統合型システム思考」を育むPBL型教員養成科目の開発について研究を推進した。第一に,プログラミングに係る教養教育「プログラミング基礎」を必修科目として新たに設置した。この授業の効果については,大学生のTechnology, Engineeringを対象とする教養教育に対する意識の調査と併せて分析中である。また,プログラミングの習得感と児童生徒への指導に対する意識との関連についても分析中である。第二に,PBL型の科目開発について,中等教育における題材との接続性を踏まえ開発していくことが必要であることから,中等教育段階での取り組みを参考に題材開発を推進した。校種は異なるものの,研究協力者とSTEAM教育の題材開発に取り組み,理工系大学教員との連携等,豊かな学びにつながる実践を構築することができた。この題材開発に係る成果に基づき,大学生の実態に即した新たなPBL型の科目開発をさらに推進しているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生のTechnology, Engineeringを対象とする教養教育に対する意識分析については,分担者の急逝によりやや遅れは見られるものの,先に述べた主たる科目の開発やそれに向けた基礎研究は順調に進んでいることから,「おおむね順調に進んでいる」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度に立ち上げた本学独自の教職必修科目「プログラミング基礎」を履修した学生に対する意識調査の分析を行い,本科目の更なるブラッシュアップをしていく予定である。この際,大学生のTechnology, Engineeringに対する意識との関連を分析し,単にプログラミングのみを学ぶ科目ではなく,今後の教員養成フラッグシップ大学で重要とされる「社会や生活の大きな変化,規範や価値観の転換を理解・認識する力」「教科等横断的な視点に立って児童生徒の資質・能力(コンピテンシー)を育成する力」「問題発見・解決型の学習活動(PBL)等を計画・実践する力」「先端技術を効果的に取り入れたICT 活用指導力」「子供たち一人一人に合った個別最適化された学びの在り方を構想する力」「コーディネート力やプレゼンテーション力などを発揮し,多様な意見や学び合いを引き出す力」「コミュニケーション力」「「チーム学校」の考え方を踏まえ,他者と連携・協働し,組織的・計画的に教育の質の向上を図るためのマネジメント力」等の備えた教員養成とするための科目の一つとして,練り上げていく予定である。 また,2021年度新設開講予定科目「学校教育の情報化研究」について,2019年度に取り組んだSTEAM教育の題材開発を援用して,大学生版の授業の構築を進めていくことにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度途中に研究分担者が急逝した。これに伴い,研究計画の一部変更(該当研究分担者の担当は代表が引き継ぐことにした)を行ったところではあるが,年度の終盤であったことから,この研究推進の一部を先送りしたこと,また,研究分担者が予定していた年度後半における出張調査が延期されたことがその主たる理由である。
|