研究課題/領域番号 |
19K02775
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
宮川 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (70552610)
|
研究分担者 |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
市原 靖士 大分大学, 教育学部, 教授 (20572837)
島田 和典 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50465861) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 「統合型システム思考」 / プログラミング / データサイエンス / 教員養成 / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究は,新たな時代に対応できる「統合型システム思考」を備えた教員養成のカリキュラムを構築することを目的としている。2020年度は教育学部生1年生を対象に必修科目「プログラミング基礎」の実践及び評価を試みた。第1回・2回では,オンラインの事前調査及び「学習の基盤としての資質・能力-情報活用能力とプログラミング教育・ICT活用-」の講義,第3回~第12回では,プログラミング言語Javaの講義と演習,第13回では,ゲストティーチャーによる教育現場におけるプログラミング教育の実践報告,第14回にて試験・オンラインでの事後調査を実施した。 村松らのプログラミング教育に関する信念尺度(5件法,4因子構造)及びプログラミングに関する認知尺度(5件法,3因子構造)を用いて教育効果を検証したところ(N=145),プログラミング教育に関する信念尺度を構成するF2「プログラミング教育に関する自信」(t(144) = 8.665, p<.001,d = .720),F3「プログラミング教育に関する必要性」(t(144) = 3.980, p<.001,d = .331),F4「プログラミング教育と教科との関連」(t(144) = 5.559, p<.001,d = .462)因子の平均値に有意な伸びが認められた。また,プログラミングに関する認知尺度を構成するf2「プログラミングに関する自信」(t(144) = 11.272, p<.001,d = .936) 因子の平均値に有意な伸びが認められた。特に効果量の結果から,本講義は学生のプログラミングに関する自信を高めるとともに,プログラミング教育に関する自信を高めることに有効な実践であること,プログラミング教育に対する認識を広げることに有効であったことが示唆され,めざすカリキュラム科目群の一つとして有効な科目となり得ることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生のTechnology, Engineeringを対象とする教養教育に対する意識分析については,分担者の急逝によりやや遅れは見られるものの,先に述べた主たる科目の実践と評価ができたことから「おおむね順調に進んでいる」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度に立ち上げた本学独自の教職必修科目「プログラミング基礎」を履修した学生の実態を踏まえ,本科目の更なるブラッシュアップを実施する予定である。また,「プログラミング基礎」で学んだことが単なるプログラミングスキルの向上だけでなく「教科等横断的な視点に立って児童生徒の資質・能力(コンピテンシー)を育成する力」「問題発見・解決型の学習活動(PBL)等を計画・実践する力」「先端技術を効果的に取り入れたICT 活用指導力」として機能するよう,他の科目との連携を図る取り組みを考えている。 特に,2021年度新設開講予定科目「学校教育の情報化研究」について,昨年度までに取り組んだSTEAM教育の題材開発を援用して,大学生版「統合型システム思考」を備えた教員養成のカリキュラムの構築を進めていくことにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による影響にて,現地調査や研究打合せ,学会発表の際に必要となる旅費が発生しなかったため,次年度使用額が発生している。 本年度の後半には,対面での打合せ,研究成果の発表(可能であれば海外学会への参加)も含めて計画している。また,新規に立ち上げる科目で使用する教材費の一部を,物品費に振り替えて使用する計画としている。
|