令和3年度の研究は以下の3点である。 1点目は、動画教材を作成し、WEB上で公開して誰もが活用することができるようにしたことである。内容は、水書用筆の学習指導要領における位置付け、使用方法・指導方法、指書き・水書用筆・鉛筆による運筆動画教材(片仮名・平仮名の代表的な教材文字)、片仮名50音の毛筆動画教材(手本・書字動画・解説付き書字動画)である。書写の示範が苦手な教師が多いという実態を鑑みると、ICT教育におおいに貢献できると考えている。また、学習指導要領解説に新しく例示された運筆指導用具である水書用筆についても、その存在すら知らない教師が多い。その点においても導入・普及に役立つものと考えている。 2点目は、水書用筆を用いた授業モデルを開発し、教師・児童それぞれの立場からその成果を検証して成果を実証したことである。研究成果は学会で発表し、査読を経て学会誌に掲載された。また、共同研究者の千葉県長期研修生である小学校教諭は、報告書をまとめ、学習指導案や使用したワークシートをWEB上で公開して誰もが活用できるようにしている。 3点目は、今日の基本点画がどのような経緯を経て選定されたのか、近代教育が始まった明治期から昭和戦前期までの動向を追った。すると、江戸期に中国から伝わった永字八法とその変法をベースにしていることが分かった。さらに当時の教育思潮の影響を受けて選定されていった実情を明らかにした。研究成果は学会で発表し、査読を経て学会誌に掲載された。
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