研究課題/領域番号 |
19K02785
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
関口 靖広 山口大学, 教育学部, 教授 (40236089)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヘルプ・シーキング / 援助要請 / 協働的学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,まず,市教育委員会が協働的学習を推進している山口県宇部市内の中学校を1つ選出し,学校長および数学科教員より研究協力の快諾を得た.次に,2019年5月に山口大学人一般研究審査委員会に研究実施の申請を行い,同年7月末に実施許可を得た. 上記中学校で,協働的学習を推進している数学科教員1名のインタビューを8月に実施し,授業内の援助要請の促進についての取組と課題について聞いた.そして,その教員の担当している1クラスを選出し,2学期に試験的なデータ収集を3回実施するための打ち合わせをした.これは,次年度のデータ収集計画を具体的に検討するために行うパイロット・スタディである. データの内容にさまざまなバリエーションを持たせるために,数週間の間隔をあけて,9月17日,10月2日,10月30日の3回にわたって,数学科授業のビデオ収録,音声収録,質問紙調査を実施した.ビデオカメラは教室の斜め前方と,選出した1グループ(抽出グループ)の近くに設置し,学級全体の様子と抽出グループの活動の様子を収めた.抽出グループおよび他の1グループについては,机上にICレコーダを設置し,グループ内の会話データを集めた.質問紙調査は,授業の振り返りシートの形態で行い,グループでのヘルプ・シーキング行動についてクラスの生徒全体の考えを聞いた. 収集したビデオおよび音声データは,すべて文章化し,質問紙データは表にまとめ,その中にどのようなパターンが見られるか質的分析を暫定的に行った. また,協働的学習による授業と従来の数学科の問題解決型授業との相違について,Y.エンゲストロームの活動システム論から考察を行い,学会発表を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力校は早期にきまり,データ収集も予定通り実施できた.データ分析からもいくつかの興味深い知見が得られている.本研究の予想通りに,協働的学習では生徒同士の支援が生徒たちの学びに重要な役割を演じていること,および,生徒からのヘルプ・シーキングがそこでの学びを媒介している様子が見られた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では,次年度(2020年度)には,1学期と2学期において,それぞれ今年度と同様に間隔をおいて授業をビデオ収録し,どのような援助要請がなされているかそのタイプ,頻度,変化,およびその背景について質的研究法を用いて分析するはずであった.しかしながら,2020年4月以降,新型コロナウィルス感染症の感染拡大により,多くの中学校が休校や遠隔授業をする事態となり,通常の授業を実施できない状況が続いている.さらに,授業を実施する場合でも,生徒同士の間隔を離して授業をするため,協働学習が機能しにくい状況がしばらく続く見通しである.そのため,現時点では,1学期のデータ収集は中止し,2学期と3学期にデータ収集をすることを検討している. しかし,新型コロナウィルス感染症の感染拡大が9月以降も長引いた場合には,次年度のデータ収集の中止も視野に入れる必要がある.その場合は,データ収集計画は大幅に変わり,2021年度に延期することになる.
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