研究課題/領域番号 |
19K02785
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
関口 靖広 山口大学, 教育学部, 教授 (40236089)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘルプ・シーキング / 援助要請 / 協働的学習 / 活動理論 |
研究実績の概要 |
2021年度は,2019年度のデータ収集の研究協力者となった中学校数学科教師に引き続き協力を依頼し,その教師の担当の1クラスを選出し,1学期と2学期の数学科授業において,各学期に原則1週間以上の間隔を置いて3回ずつデータ収集を行った.毎回1つのグループに焦点をあてて,ビデオカメラとICレコーダで協働的学習の様子を記録した.さらに,授業終了時の振り返りシートに援助要請に関する項目を盛り込み,援助要請に対する生徒たちの意識の状況および変容に関する補助的データも集めた.また,2学期の授業データ収集終了時には,研究協力者の授業者にインタビューを行った.これらのデータから,どのような援助要請がなされているかそのタイプ,頻度,変容,およびその背景について質的研究法を用いて分析することを進めている. 研究協力者の人事異動により,2019年度のデータ収集とは学校も学年も異なることになった.これは新たなバリエーションを見出す可能性を開くと期待されるが,2021年度中はデータ収集と整理が中心となり,データの本格的分析は2022年度に行うことにした. また,2020年度に行ったエンゲストロームの活動システム理論にもとづいた数学科協働学習の考察をさらに発展させ,活動システム理論が数学教育において広く授業や授業研究を研究するのに,どのように貢献しうるか,またどのように活動システム理論を活用したらよいかを検討し,2021年10月30-31日開催の日本数学教育学会秋期研究大会にて口頭発表を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初2020年度には,1学期と2学期において,それぞれ2019年度と同様に数学科授業においてデータ収集を実施し,どのような援助要請がなされているかそのタイプ,頻度,変化,およびその背景について質的研究法を用いて分析する予定であった.しかしながら,2020年4月以降,新型コロナウィルス感染症の感染拡大により,データ収集予定の中学校において通常の授業を実施できない状況が続き,さらに,授業を実施する場合でも,生徒同士の間隔を離して学習するため,協働的学習が機能しにくい状況であった.そのため,2020年度に実施する予定であったデータ収集は2021年度に延期された.2021年度にはデータ収集を実施することができたが,データの収集作業とその整理に時間がかかったため,最終的な分析作業は2022年度に延期することにした.
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今後の研究の推進方策 |
当初2020年度に予定していたデータ収集は2021年度に実施できた.研究期間を1年延長し,これまでに収集した全データを分析し,2022年度に分析結果をまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していたデータ収集計画が,新型コロナ感染拡大のため,2021年度に延期となった.そのため,2021年度はデータ収集とその整理に時間と労力が割かれ,当初予定していたデータ分析と研究成果のまとめ作業があまり進められなかった.それゆえ,データ分析と研究成果のまとめ作業のための経費が一部しか執行できなかった.2022年度は,これまでにえられた全データの最終分析と研究成果のまとめのために経費を使用する計画である.
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