研究課題/領域番号 |
19K02786
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
阪根 健二 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 特命教授 (10363178)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 働き方改革 / 勤務の棚卸し / 質問紙調査 / 最適化 / 遠隔 / 変型労働時間制 |
研究実績の概要 |
本研究は、教職員の勤務に関する意識や状況の現状把握を行い、それを元に総合的な対策を、分析・検討・開発していくものである。この研究は、2018年から調査活動を継続的に行っており、事前調査として、2018年秋に徳島県の小中学校教職員314 名及び香川県の小中学校教職員120名から聴取(勤務の棚卸し)及び質問紙調査(意識調査)を行ってきたが、多忙化の要因は、学校行事、成績処理であり、両県とも多忙化の上位に挙げた。いずれも、管理職が工夫改善できる内容であり、「管理職による職務の振り分け」や「校務分掌の公平感」という点に集約されたため、これらを元に、管理職の関与手法について、2020年度に教委等に聴取する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、訪問調査が不可能となり、オンラインでの聴取及び研修試行を行うこととした。 2020年度は、給特法の改正に伴い、「変形労働時間制」の条例改正が各地で動き出したことにより、そこに焦点をあてることとした。徳島県では、全国に先駆け条例改正を行うこととなったため、2020年11月30日に徳島県議会全議員勉強会で助言者として参画し、その講演・資料作りを行った。ここでは、教委及び管理職が大きな役割を果たすことの意義や管理職研修の重要性を示した。 また、研修にオンライン(遠隔)を活用することが、負担減につながるだけでなく、研修効果もあることを研究紀要に投稿し、実際の管理職研修でもオンラインの活用を推奨した。こうした動きによって、山口県、和歌山県、福島県の管理職研修でもこの手法を取り入れることとなり、研修内での調査では、オンラインの有効性を強く感じた管理職は84.9%、感じた管理職は15.1%であり、否定意見は0%という大きな成果を得た。対面研修を望みながらも、現状を鑑み、新たな動きを取り入れようする流れを作ることができたものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、教委等への訪問調査が不可能となったため、当初の計画が遂行できない状況となり、研究の遅延が危惧されたが、GIGAスクール構想の前倒しなどがあったため、この機会に研究方針をオンラインによる聴取及び研修試行に舵をきった。これは当初の計画から、遠隔の活用という点に重点を変えたものだが、結果的に働き方改革に有効なツールして動き出すこととなったため、研究は進展したものといえる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、研究ではそうした環境下での働き方改革という視点を取り入れることとする。また、「変形労働時間制」という管理職には馴染みのない手法が学校現場に導入されることから、管理職研修が一層必要であるという指摘から、ここにも視点を当てていきたい。なお、対面での研究が難しい状況から、オンライン活用を取り入れ、聴取及び研修試行を行うこととする。また、働き方改革と遠隔活用(GIGAスクール構想)とは大きく関連しており、こうした新たな動きを学校現場にスムーズに入る流れを作ることが本研究の成果になるものと考える。最終年度には、最適化をめざした研修についての資料作成を行う予定であり、現場に提供する方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、訪問調査ができず、旅費は支出していない。また、その調査に伴う人件費も支出していない。そのため、遠隔のための仮想会議室(遠隔)の契約を行った。
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