研究実績の概要 |
最終年度には,調査内容と調査範囲を広げ,管理職の関与がどうあるべきかを考察した。 そのため,2021年6月~10月に「教職員の働き方改革についての意識・実態調査」を実施し,①負担感率が高いとされる業務改善に特に必要だと思われる点,②今教育委員会・ブロック単位で実施している内容,③学校単位で実施している内容,④変形労働時間制の実施状況,⑤業務改善についての意見について質問紙調査し,その傾向を掴むこととした。対象地域を,徳島県,香川県,石川県,広島県,福岡県の5県に広げて,総回答数525名の内,職名が正確に分かる498名(教諭84名,管理職414名)の回答を比較・分析した。 その結果,負担感率が高いとされる業務の改善については,「調査等の削減」(68.3%),「問題行動,不登校対応」(40・0%),「研究会レポート,報告書の在り方」(39.3%)に,特に改善の必要があることが分かった。ここで注目される点は,教諭と管理職間に、意識の相違があったことである。一般教職員は“事務処理的な部分”に改善の必要性を挙げる一方で,管理職は“生徒指導的な面”の改善を特に意識していた。つまり,一般教職員は,子どもに直接関わる業務においては,負担感をあまり示しておらず,それよりも事務処理や研究会等に強い抵抗感を感じており,管理職が危惧している生徒指導面への負担軽減の必要性という視点においては,意識の違いがあったことである。 また,教委や学校が改善している方策(施策)は,管理職は把握していても,一般教職員は知らなかったという回答が多く,施策や具体例を管理職が示していないという実態が本調査で明らかになった。 こうした傾向を踏まえ、管理職が働き方改革にどのような取り組めばよいか,また変型労働時間制の実施状況について,シンポジウムを企画し,啓発リーフレットを作成して,全国に向けて「提言」を公開した。
|