研究課題/領域番号 |
19K02792
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
永田 佳之 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (20280513)
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研究分担者 |
横田 和子 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 講師 (80434249)
吉田 敦彦 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (20210677)
曽我 幸代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (40758041)
林 真樹子 聖心女子大学, グローバル共生研究所, 助教 (20772221)
木戸 啓絵 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90746439)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気候変動 / 地球温暖化 / 気候変動教育 / 気候変動学習 / ユネスコ |
研究実績の概要 |
中間年に当たる2020年度は新型コロナウイルス感染状況の影響のもと、調査内容・手法の変更を余儀なくされた。当初予定されていた海外調査は不可能となり、その代替措置として国内調査を実施した。全国の気候非常事態宣言を発出した自治体を対象に質問紙調査を行い、気候変動教育の現状と課題について把握した(対象43自治体、回収率 79%)。最終年度になるが、学会発表を少なくとも2本は行えるだけのデータ収集と分析を終えた。また、研究室ホームページと連携させた気候変動教育に関するデジタル・プラットフォームの運用も始め、主に学校の教師が利用できる気候変動関連の情報を公開し、実際に公立小学校の授業で使用されている。海外調査は文献調査に留まったが、国内に関しては京都や山梨などの地方の事例調査を新型コロナウイルス感染の情勢が許す範囲で実施した。上記の質問紙調査でも地方自治体の気候変動教育推進に対する役割の重要性は明らかであるが、京都市環境保全活動センター(京エコロジーセンター)のような学校外の施設の重要性および学校教育と連携できる地域施設の重要性も明らかになりつつある。また、山梨県の北斗市にある「ぐうたら村」での聞き取り調査は次の点において大きな収穫であった。つまり、温暖化という問題にどう対処するかという点と合わせて、そうした問題を起こさないようなライフスタイルや「生き方」をどのよう構築していくのかという視点から、英国を中心に実践されてきた「ハーモニー原則」等に着目し、それらを参考に教材化したり、ワークショップなどのプログラムを開発したりすることで具体的な可能性が開かれると考えている。限られた時間と予算の中で画像なども含めた良質な成果物をいかに制作するのかも最終年の優先的課題として認識されるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響による調査内容や研究手法の変更を余儀なくされたものの、代替措置として実施した全国の自治体を対象にしたデジタル通信及び郵送による自記式調査が成果を挙げつつある。また、初年度から取り組んできた学校現場等での気候変動教育の推進に資するためのデジタル・プラットフォームが予想以上に利用されている。さらに、日本では決して知られていない気候変動関連の宣言を国連機関の了解のもとに翻訳・公開し、授業や研究に役立ててもらっている。これらの成果は、当初に予定されていた海外調査とは当然ながら内容が異なるものの、気候変動教育という今後裾野を広めていく必要性と緊急性の高い分野において研究をベースにした社会貢献であり、その意味において「順調に進展」という自己評価が妥当であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性としては、学校をはじめとした実践現場に役立つ成果を具体的に提示できるように成果物を形にすることである。「ハーモニー原則」等を参考した教材づくりやそれらを活用するための画像教材の作成が考えられる。また、文献調査に留まっている海外調査の成果も含めて、報告書を刊行したいと考えている。資金的にビデオ教材の制作は無理があると思われるが、その可能性を残しつつ、最低でも写真を駆使した冊子レベルの教材の作成を目指したい。また、初年度から新型コロナウイルスの影響で実現が阻まれた海外調査であるが、最終年度内に可能となる情勢になれば、諦めずに実現をさせる方向性を保持したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響のため、当初予定していた国内調査のみならず、海外調査も無理となり、特に旅費の使用が少なかった。その分、国内調査に関わる費用に使途をシフトさせることとなった。気候変動に関する情報プラットフォーム(ウェブサイト)を立ち上げ、公開することにより、現場の先生や政策関係者とのつながりを強化したが、これに関しては比較的に安価な業者選定が実現した。また、自治体調査(郵送およびオンライン調査)を実施し、国内の調査に力を入れた2年目となったが、3年目の調査も、現在(2021年4月18日)のコロナウイルス感染状況を見る限り、海外調査は当初の予定通りには実施は困難である可能性が高い。その分、2年目で実施したように、国内調査及び成果物の作成の方に力を入れていきたい。例えば、国内の感染状況を見極めつつ可能な範囲で事例の訪問調査を実施し、また温暖化という問題を起こさないための教材開発を行う予定である。このために高画質の撮影が必要となるが、カメラ等の必要機材を購入し対応していきたい。
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