研究課題/領域番号 |
19K02797
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
疋田 祥人 大阪工業大学, 教職教室, 准教授 (40425369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 工業科教員養成 / 高校工業教育 / 教員養成 |
研究実績の概要 |
本研究は、工業科教員養成の問題状況の改善方策を探るべく、大きく①質問紙調査、②事例研究の2つの調査・分析を実施することによって、現在の日本の工業科教員養成の事実とそこに含まれる特徴や課題を、具体的かつ実証的に解明しようとするものである。 2019年度は、これらのうちの①質問紙調査を実施することで、大学における工業科教員の養成の営みの全体像を把握することに努めた。 その結果、高校工業教員の養成を行っている大学・学部195学部のうち、私立大学の理工系の学部等が109学部(全体の約56%)、国立大学の理工系の学部等が49学部(全体の25%)あり、私立大学および国立大学の理工系学部が高校工業教員の養成に果たしている役割が特段に大きいとみられた。 また、こうした高校工業教員の養成が私立大学および国立大学の理工系学部に依存する度合いの大きさは、教員免許状取得状況からみても指摘でき、教員免許状取得者のうちの8割以上の者が私立大学または国立大学の理工系学部の卒業者であった。 このように、現在の高校工業教員の養成については、私立大学および国立大学の理工系学部が担う役割が大きくなっており、高校工業教育を深いところから規定するものとして、これらの理工系学部における高校工業教員の養成の営みが決定的に重要になっているといえた。なかでも、私立大学では、日本工業大学工学部、愛知工業大学工学部、大阪工業大学工学部、福井工業大学工学部、中部大学工学部、国立大学では、北見工業大学工学部、徳島大学理工学部、富山大学工学部、新潟大学工学部が他の大学・学部に比して特段に大きな役割を果たしており、これらの大学・学部における養成教育の営みについての調査・解明が高校工業教員の養成の解明にとって重要な課題になると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画であった工業科教員の養成の全体像を解明することは順調に進めることができ、今後の事例研究の対象とすべき大学・学部もほぼ確定することができた。 ただし、質問紙に対して未回答の大学・学部も存在しており、これらの大学・学部についての調査方法を検討する必要がある。 また、研究成果の発表を予定していた学会が新型コロナウイルスの影響で中止になり、予定していた成果発表を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、教員免許状取得者数および教員採用者数の点において、他の大学・学部に比して特段に大きな役割を果たしているとみられる大学・学部、すなわち私立大学では、日本工業大学工学部、愛知工業大学工学部、大阪工業大学工学部、福井工業大学工学部、中部大学工学部、国立大学では、北見工業大学工学部、徳島大学理工学部、富山大学工学部、新潟大学工学部を対象として事例研究を行い、各大学の教育内容、とりわけ高校工業教育の中核をなす実習の内容の特徴、および各大学が抱える具体的・現実的な問題等について明らかにしたい。 ただし、事例研究の方法については、当初は必要に応じて当該大学を訪問し、授業や施設の見学、教務(教職)担当事務担当者または教職担当教員への聞き取り調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で訪問できないことも予想される。当該大学を訪問できない場合は、必要書類の提供や電話やメールでの聞き取り調査で対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように、2019年度は新型コロナウイルスの影響で、研究成果発表を予定していた学会が中止になり、研究成果を発表する機会を得ることができなかったため、旅費の使用がなく予算に残額が生じることとなった。 来年度は、今年度の成果ともに複数の学会で発表するとともに、事例研究対象大学・学部に訪問して調査を実施したい。そのための旅費として使用したいと考えている。
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