研究課題/領域番号 |
19K02799
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
河本 洋一 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 教授 (50389649)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒューマンビートボックス / ヴォーカルパーカッション / ヴォイスパーカッション / ボーカルパーカッション / ボイスパーカッション / 音楽教育 / 指導法 |
研究実績の概要 |
前回の科研費研究『音楽表現の新たな素材としてのヒューマンビートボックスに関する基礎研究』(2014-2017)での研究成果を踏まえ、2019年度の本研究では、まず日本におけるヒューマンビートボックスの概念形成を整理し、その成果を日本音楽表現学会発行の『音楽表現学』Vol.17に『日本におけるヒューマンビートボックスの概念形成ー世界的な潮流と日本人ビートボクサーAFRAとの関わりからー』(査読付論文)にまとめた。この論文では、日本におけるヒューマンビートボックスの捉え方と世界的な流れにはずれがあったことや、ビートボクサーAFRAが世界と日本との間の架け橋となり、日本におけるこの音楽表現の発展に大きく貢献したことなど、今後の基礎資料となるべきエビデンスを整理した。 次に今年度は、ヒューマンビートボックスの指導事例を収集することを目標に10月以降の研究を進めていった。研究計画を立案した当初は、ヒューマンビートボックスの指導事例のみに対象を限定していたが、国内における指導実績としては、類似する音楽表現である「ヴォーカルパーカッション」(いわゆるボイパ、ヴォイパ)の方が歴史があり、また、日本語で書かれた指導書も数冊発行されていることがわかったため、調査対象をヒューマンビートボックス及び“ヴォイパ”にまで広げることとした。 初めにヴォイパの指導事例として、国内で最も長い歴史をもつヴォーカルパーカッショニストのKAZZの実践事例を調査した。KAZZは前述のAFRAがビートボクサーとして国内で活躍するよりも前の1995年にはすでに活動をしており、現在もヴォイパの指導教室を経営して自らも演奏活動を行うなど、指導と演奏実績共に豊富な演奏家であるために調査対象とした。その結果、身体全体を使った指導や、言語音から非言語音化していく過程など、示唆に富んだ実践事例を調査することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
◇学内の諸事情により、研究担当者への科研費の配分が遅延し、研究開始時期(調査)が予定よりも遅れたため ◇新型コロナウイルス対策のため、調査対象地域への渡航を自粛せざるを得なくなったため
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今後の研究の推進方策 |
実地調査による事例収集は、新型コロナウイルス対策の動向によって大きく影響を受けるため、調査方法の複線化を検討する。その上で、2020年度は収集しきれなかった指導事例を収集すると共に、それらの事例の特徴を整理し、ヴォイスパーカッションやヒューマンビートボックスの指導上の特徴を整理する。そして、効果的な指導法や学習指導要領に照らし合わせた指導内容の類型化をおこない、音楽教育上での意義について明らかにする。 また、そのような意義を具現化するための効果的な指導法を複数開発し、教育現場で試行する。ただし、当初は学会のワークショップでの実施を皮切りに、専門的な意見を聴取してからの現場試行を予定していたが、学会が中止となったため、指導法を提供しその結果を動画で返信してもらうなどの協力者を得た上で、試行を実施することとしたい。 なお、新型コロナウイルス対策の動向によって、これ以上の研究の遅延が生じないよう、インターネット配信や動画の送受信など、遠隔でも実施できる研究方法も取り入れた実地と遠隔のハイブリッドな研究様式を早急に講じる予定である。
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