新型コロナウイルス感染症(いわゆるコロナ禍)によって著しく研究の進捗が遅れていたが、最終段階の教材開発とその実証実践まで終えることができた。実証実践は、高等学校、ヒューマンビートボックスやボーカルパーカッションのカルチャー教室、音楽指導者のワークショップ、学会などである。これらの実証実践をとおして、下記の事項が明らかとなった。 ①ヒューマンビートボックスは音楽教育の新たな内容としての活用が可能である。ヒューマンビートボックスが1人または複数での創造的な音楽活動を可能とするからである。 ②ヒューマンビートボックスの初心者への指導には、オノマトペの活用が有効である。ドラムセットのキックドラムを「ドン」、スネアドラムを「プス」、ハイハットシンバルを「チ」(あくまでも一例であり実際はさらに多い)というような音を模倣したオノマトペに置き替え、これらをリズムとパターンとして有機的に組み立てることで、初心者にはヒューマンビートボックスの基礎的な技法を効果的に伝えられることが分かった。さらに、この方法から発展させ、本格的な音の発音や、アンサンブルへとつなげられることを確認した。 ③ヒューマンビートボックスの基礎的なトレーニングのための偶発的なリズムパターンを生み出す「ビートレカード」の使用が効果的である。様々な教育現場等でビートボックストレーニングカード(ビートレカードとして商標登録済)を使用したワークショップを実践した結果、このカードを使用することによって、直感的なリズムトレーニングや演奏者同士のセッション、また、ゲーム感覚でビートを楽しんだり、偶発的なリズムパターンの出現によるアイスブレイクの高価も確認することができた。今後、このカードは商用用販売を目指していくよていである。なお、ビートレカードの商標権は、大学ではなく研究者個人に帰属することを学校法人札幌国際大学と確認済みである。
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