研究課題/領域番号 |
19K02801
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
境 智洋 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40508537)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | へき地小規模校教育 / 理科教育 / 教材・教具 / 貸出 |
研究実績の概要 |
アメリカアラスカ州で行われているサイエンスキットのシステムを把握して、そのシステムを日本へ導入し、日本型の理科教材・教具支援システムを作り上げることを目的として行ってきた。まず、2019年度~2022年度の3年間で、アラスカ州フェアバンクス・アンカレッジを訪問し、サイエンスキットの運用方法について調査等を行う予定でったが、コロナ感染症の蔓延によって調査ができず、2022年末の短期間の調査及び2023年末に調査を行った。この調査によりサイエンスキットの運用及びそのシステムの概要が見えてきた。サイエンスキットの運用は全米各地で行われており、企業の教材教具の開発も行われている。その中でアラスカ州はアラスカの自然、文化、環境に特化した教材・教具の開発を行っていることが特記される。また、サイエンスフェア(児童生徒の研究発表のシステム)と連動し、子どもの課題解決能力の育成にもつながっていることがわかってきた。さらに、サイエンスキットはすべての学校の一人ひとりに教材・教具が行き渡るシステムであり、個別学習や、発展学習にも広がるよう配慮され、個別最適な授業づくり及び、主体的な学びを作り上げていくための1つのシステムとなっていることがわかってきた。この運用方法を日本型に取り込むために、本別町と共同で2019年度より、本別町の教員及び教育委員会、理科教員退職者の会と「本別町理科教育プロジェクト・HoseP」を立ち上げて、本システムの運用に向けて取り組んだ。また、新たな教材作成として本別町の地質剥ぎ取り標本、流水実験装置、月の満ち欠け実験などを作成し、本別町図書館に保管することを行った。しかし、コロナ感染症蔓延により2020年よりHosepは中断、2022年度より修正を試みたが、2019年度の体制まで戻れていない。今後は、日本での運用の導入に対するシステムの構築に関する諸条件をまとめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症により以下の困難が生じた。1つは、アメリカフェアバンクス州及びアンカレッジ州を訪問し、サイエンスキットの運用方法を詳細に調査しまとめることであった。受け入れ側のアラスカ大学フェアバンクス校が閉鎖し、研究推進協力者との連絡が途絶え情報が入らなくなり、2022年末まで状況把握ができなかった。また、アンカレッジ調査は実現できていない。1つは、日本型サイエンスキットシステムの構築に関し、協力町での受け入れ実施団体を立ち上げ、準備を進めた。2000年から2年間訪問できず、2023年に再構築を試みた。現状は、教員など人が変わるなどの影響があり初期の状況からスタートすることになった。 2022年、2023年とアラスカ訪問を行い、サイエンスキットの状況把握ができてきた。また、そのシステムの概要を把握した日本型のシステム概要は、本別町を例に今後の展開方法も見えてきている状況である。今後は、調査をまとめ、日本型のシステムの運用方法について研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
アラスカ州フェアバンクスのサイエンスキットの中で、地域に特化した教材の作成のシステム及びその内容の把握がまだなされていない。2024年度に再度アラスカへ渡航し、最終的な調査としたい。これらの調査を詳細に分析し、アラスカのサイエンスキットシステムのまとめを行う。 日本型の理科教材・教具支援システムについては、本別町での立ち上げから現在までを分析するとともに、日本型の運用方法についてまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症蔓延の影響が緩和されたが、海外渡航や国内の学校内への立ち入りに関する制限の影響が残り、国内外の調査及び実践が実施できない状況及び調査の遅れが生じた。2024年度は、調査できなかった地域教材に関する調査及び、日本型の運用方法について検討し、研究成果をまとめる。
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