本研究は,社会科前史における小学校特設教科目の実践展開を,実践の連関性・連続性の観点から考究することを目的とした実証的研究である。具体的には,(1)明治期,特に第一次小学校令期以降における小学校特設教科目(「雑科」)の実践・構想の全国的動向を明らかにするとともに,(2)社会科前史における小学校特設教科目として代表的な直観科・郷土科・国民科等の実践的系譜のなかに位置づけることを本研究は企図している。 研究の初年度にあたる2019年度においては,以上のような研究目的や研究実施計画に基づき,次のような研究を行った。まず,(1)これまでの調査・研究において収集してきた史・資料について,改めて確認・整理を行うとともに,今後,調査・研究を実施する予定の史・資料について予備的調査を行った。また,(2)今後における調査・研究を効果的かつ効率的に進めるために,以上のような史・資料を整理する際に必要な設備・備品を整備し,データベース化のための準備作業を進めた。そして,(3)図書館に所蔵された地方教育会雑誌や教育関係雑誌を閲覧・複写することを通して,小学校社会系特設教科目の関連記事の調査・収集を行うとともに,新潟大学において開催された日本社会科教育学会全国研究大会および島根大学において開催された全国社会科教育学会全国研究大会に参加することを通して,社会科教育史に関する最新の研究成果・動向について把握することに努めた。
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