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2020 年度 実施状況報告書

「未完成な証明」の生成過程での「ディスコースの拡張」モードの転換の解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 19K02805
研究機関宇都宮大学

研究代表者

牧野 智彦  宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (10450157)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード未完成な証明 / ディスコースの拡張モード / 命題の認識値 / 命題のステータス
研究実績の概要

2020年度は,2019年度に実施した調査の分析結果をはじめ,これまで収集したデータをもとに,「未完成な証明(incomplete proof)」の中でも,とりわけ,逆転推論を含む証明を生成した生徒に焦点を当てて,逆転推論をする生徒が持つ命題の「認識値」の様相と命題の「ステータスの理解」の様相について研究した.
逆転推論を含む証明を生成した生徒と,逆転推論を含む証明を生成しなかった生徒とを比較して,その共通点と相違点から,逆転推論を含む「未完成な証明」を生成する際の認識値の特徴,命題のステータスの理解の特徴を描き出した.なお,この結果を学術誌に投稿し,「条件付き採録」の査読結果を得た.現在,査読付き学術誌への掲載に向けた修正を行っています.
2020年度の後半からは,記述した証明の中に飛躍がある解答に焦点を当てて,飛躍のある証明を生成する生徒の行為について研究を進めている.数理哲学の研究で,数学の実践における「飛躍」を3つのタイプに分類している.3つのタイプを研究の視点として,妥当な推論をしているのかどうか,意図的に飛躍や省略を作っているのかどうか,数学者による実践との異同について,インタビューのデータの分析を通して,探っている.
2020年度7月に,国際数学教育会議における証明の研究グループ(Topic Study Group)で,論文発表する予定であったが,新型コロナウィルスの影響で,会議が1年延期となった.2021年度の7月にオンラインで発表することになり,現在,準備を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Duvalにおける命題の認識値,命題のステータスを分析する枠組みが完成し,その枠組みを使って,データの分析を実施できた.その結果,逆転推論をもたらす命題の認識値と,命題のステータスの理解のパターンを捉えることができた.

今後の研究の推進方策

証明の中に飛躍をつくる生徒がどのように考えているのか,なぜそれでよいと判断しているのかについて,現在,考察中である.飛躍のある証明を生成する生徒の認知的特徴の解明に引き続き取り組む.
また,2021年では,これまで明らかにしてきた「未完成な証明」の生成の様相をもとに,その生成を制御する指導実践の手立てを開発するために,未完成な証明を生成したペアの生徒に対する教授実験を実施する.現在,調査対象者を選出している.

次年度使用額が生じた理由

書籍の購入が間に合わなかったので,次年度分として購入する予定である.

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公開日: 2021-12-27  

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