研究課題
国際社会の予測困難な現状に直面し、世界各国の教育にも大きな転換が迫られた。このコロナ禍を経て本研究が目指す、従来の縦割りの教科学習を見直し、教科等領域を横断する幅広い視座から学習者が自ら課題を発見し、解決していく学びの有効性が改めて示唆され、各国の研究協力者との情報交換がこれまで以上に活発になされた。このように、オンラインによる充実した情報交換による成果が得られた一方、当該年度はコロナ禍により、国内外の多くの調査研究のキャンセルを余儀なくされた。そのため、コロナ禍以前の一昨年に実施していた、米国及び国内のフィールド調査のデータに、さらなる時間を費やして分析を加え、考察を深めることに努めた。オンラインによる実態調査では、日本、米国、豪州などの国々との比較から、日本の学校教育(大学を含む)におけるテクノロジーの活用が大きく遅れている現状が指摘された。これを受け、テクノロジーを活用した、日本の授業プログラムの模索を新たに計画に加えた。具体的には、コロナ禍でその需要が加速した、オンラインによる学習や、ICT(情報コミュニケーション技術)を取り入れた活動を組み込み、時間や場所を越えて、他者と協働しながら新たな価値を創造していく、音楽授業プログラムを構築した。これらの試みの成果とともに、一昨年の国際音楽教育学会(AMSMER 2019)アジア・マカオ大会での口頭発表(ICTを活用した初等教育の実践)に新たな分析を加え、国際音楽教育学会(ISME 2020)フィンランド、ヘルシンキ大会に論文を投稿した。加えて、身体表現活動、社会科の歴史・平和学習、美術科などの学びを横断した、中学校の音楽科授業プログラムを構築し、同じくヘルシンキ大会に投稿した。これら2編は、査読付き全文論文(Full Paper)として採択され、2020年の大会誌に掲載された。
4: 遅れている
コロナ禍の影響を受け、海外調査研究のための渡航、国内の一部の調査研究、及び国内外での学会発表など、多くの計画のキャンセルを余儀なくされた。また、研究課題に新たな視座(ICTの活用)を加えたことから、テクノロジーと教育についての基礎的研究に時間を割く必要が生じた。
コロナ禍に鑑み、オンラインを活用した諸外国の授業実践(映像を含む)の情報収集、インタビュー調査などに研究方法を切り替えると共に、現地とのオンラインによる連携の機会をさらに深めながら、研究の遂行に努めていく。国内においては社会情勢に配慮しながら、対面による授業実践の調査とオンラインによる調査とを併行して取り入れながら、速やかに推進していく方策である。
コロナ禍の影響を受け、当初計画していた複数の海外調査研究がキャンセルとなったため、旅費等の残額が生じた。これら海外の調査については、今後はオンライン等の活用により、可能な限りデータ収集、情報交換などに努める。残額については、国内の調査研究の旅費に充当するとともに、分析の参考資料として関連書籍を国内外から購入する費用などに充てる計画である。
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Proceedings of the International Society for Music Education, 34th World Conference on Music Education;(ISME) Helsinki, Finland
巻: 34 ページ: 561- 567
Proceedings of the International Society for Music Education, 34th World Conference on Music Education ;(ISME) Helsinki, Finland
巻: 34 ページ: 568 - 576