本科研のテーマ「東京高等師範学校附属中学校英語科の英語教育界への影響の研究」について、最終年度は、研究の総括を行い、報告書を作成し、令和4年度に発刊した。この中では、附属中学校の教員について触れたり、英語教育界への影響についても総括した。一番の影響は、附属中学校の教員に研究し実践されたオーラルメソッドの新教授法が卒業生によって、湘南メソッドや福島メソッドという教授法によって全国に広められたことであった。さらに、附属中学校の教員たちが教員養成を担う高等教育機関の教員、例えば、高等師範学校、東京教育大、東京学芸大、玉川大等に栄転し、そこで附属中学校で実践された教授法を学生の教育を通じて全国の中学校や高等学校等の教育現場に広めたということもあった。さて、合計4年間に亘り、本テーマについて研究を行ってきたが、東京高等師範学校附属中学校の独自の教育実践、教育実習の状況を描き、また、中学校で発刊された研究雑誌『中等教育研究』の分析を通じて、附属中の教員が4技能やテスト等の英語教育全般について研究を行い、その指導方法について発信を積極的に行っていたことが分かった。次いで、教育実習の方法も現在の大学と附属学校の連携による有益なモデルとなっていたことも明らかになった。具体的には、高等師範学校の教員が附属中の実習に行き、附属中の教員と協力して実習生の実習の指導助言を行うと言う体制が出来ていたことがあった。最後に、附属中学校の実習を経て、全国の教育現場に散って行った卒業生たちがオーラル主体の教授法、附属中の教育実習で実習した新教授法を教育現場に流布させ、その影響を受けた同僚たちもその教授法を実践する等の英語教育界への影響が発生したということも明らかになった。いずれにせよ、東京高等師範学校附属中学校の教育実践の英語教育界への影響は大きいものがあったことがある程度、明らかにされた。
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