研究課題/領域番号 |
19K02815
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
森 有希 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (30782049)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 道徳科 / 教員の評価力 / モデレーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、道徳科において児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子について一貫性のある評価を行えるよう、教員の評価力を向上させていくための評価検討プログラムを開発し、その有効性を明らかにすることである。 当該年度においては、まず、「道徳科における評価に関する調査」(筆者作成)を小・中学校教員(抽出調査)を対象に実施したところ、「評価結果について校内の教師間で検討」「評価の視点について校内の教師間で検討」「把握したことを校内の教師間で検討」など教師間で検討を行う項目に関して、重要だと意識しているが実際はあまり行われてはいないという傾向が見られた。こうした調査から、道徳科の評価において教師間で比較・検討・調整を行うことの重要性が確認できた。 そこで、この調査からも捉えられた現状も踏まえて、道徳科における教師の評価力向上のための取組として、指導の構想段階から評価に至る一連の教育活動の中に評価に関するモデレーションを導入して教師が協働的に意見交換を行うプログラムを考案した。本研究で考案した「指導と評価の検討プログラム」は、授業前の指導の構想の段階、授業実施の段階、授業後の段階の三つのステップを一連のプログラムとしており、複数の教師とプログラムを進行するファシリテーターが参加するものである。本プログラムの特徴は、指導の構想段階も含めて協議し、評価の過程と結果の検討にモデレーションを導入することで、評価の質、加えて指導の質をも協働的に高めていくことにある。そして、三つのステップのうち、授業前と授業後には、複数の教師で適宜グループ活動も取り入れながら、評価の過程としての見取りの視点と、学習状況等への着眼の結果に関するモデレーションを行うこととした。当該年度は、この「指導と評価の検討プログラム」を複数の学校で試行的に実践した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度には、前年度に実施できなかった「道徳科における評価に関する調査」を実施し、小・中学校における評価活動の現状や意識を把握して道徳の評価の過程や結果にモデレーションを導入したプログラムを作成した。 また、2020年度に実施する予定であった本プログラムを小・中学校において試行的に実施することができ、おおむね計画していたことはできた。しかし、コロナ禍により、有識者や関係者へのヒアリング、プログラムの実践などについては規模や回数を縮小して行わざるを得なかったため、プログラムの評価と検証については、十分には行えなかった面もある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、2020年度に行った「指導と評価の検討プログラム」を再度実践のうえ関係者からのヒアリングなども実施し、本プログラムの評価と検証を行って得られた研究成果をまとめていく。その際には、コロナ禍により、対面での実施が難しい面を遠隔システムを活用して行うようにする。まとめた研究成果は、学会発表や論文投稿などを通じて学術的貢献を行う。また、道徳教育に関する研修会等を開催し、道徳科における教員の評価力の向上に貢献していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、学校における授業研究会の開催や有識者や関係者等へのヒアリング活動などは規模や回数を縮小せざるを得なかったが、今後は、こうした活動を補填するために遠隔システムを活用したいと考えている。そのため、旅費に計上していた予算を遠隔システムの機器類の購入にあてるように計画している。
|