研究課題/領域番号 |
19K02816
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
飯田 慎司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20184351)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特設型問題解決 / 資質・能力 / 数学的な考え方 / 問題解決型授業 / 理論と実践の往還 |
研究実績の概要 |
2019年度には、購入した算数教育関連図書を参考にしながら、新たな特設型問題解決教材を開発した。開発の方法としては、研究協力者(算数科教師)からの提案をもとに研究会においてさらなる教材研究を行い、研究代表者が精緻化して教材に仕上げるというものである。 小学校各学年担当の附属小学校および公立小学校の算数科教師(計7名)を研究協力者として配置し、8月期に実施した研究打ち合わせ会で教材開発の方法等を共有するとともに、「音符の問題」と「畑の問題」を事例とした教材研究を行った。研究代表者は、日本教科教育学会において、「音符の問題」と「畑の問題」を事例とした教材研究についての発表を行うとともに、研究協力者とメールでの協議を行いながら、12月末までに教材開発の原案を取りまとめた。 2月期に研究打ち合わせ会を開催し、取りまとめた原案をもとにした協議を行うことにより、学年毎に教材開発の成果として精緻化していった。その成果は、3月末までに研究成果報告書としてまとめ、研究協力者に配布するとともに、2020年度以降の算数教育に際して活用していくことを可能とした。これらの成果は、研究協力者を起点として、各地区の算数科教師に提供されていくことが期待される。 なお、本年度の研究成果を、他国あるいは国内で教員養成や教員研修にあたっている研究者や実践家にレビューしてもらうことを計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大の状況から2019年度末3ヶ月間に予定していた出張はとりやめることとした。以後、適切な機会をとらえて、オンラインでのコミュニケ-ションを図って、研究成果の発信を行っていくこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、特設型問題解決指導に資する教材開発を予定していたので、この点の進捗状況としては、おおむね順調に進展したと評価できる。その要因としては、研究協力者7名のうちの4名は、2014年度~2016年度に実施した科学研究費助成事業基盤研究C「算数教育における特設型の問題解決指導に関する研究」の際にも研究協力者として参加していたことが挙げられる。そして、新しく参画した3名は、附属小学校や公立小学校で、以前から参画していた研究協力者の助言を受けながら教材開発の方法等をつかむことができたのである。 8月の打合せ会の時点で、「音符の問題」と「畑の問題」を事例とした教材研究を行ったことも、教材開発が順調に進展したことの要因となった。それは、前科研では、算数科における問題発見・解決の過程における「数学の事象」からの教材が主流であったのに対して、「音符の問題」や「畑の問題」は「日常の事象」からの教材であり、これを参考にして開発された本科研での教材は、そのほとんどが「日常の事象」からの教材となった。統計的な学習に関わる教材も顕著に開発されており、算数教育界で研究が求められている教材開発にあたっていることも、おおむね順調に進展したと評価できる点である。 ただし、他国あるいは国内で教員養成や教員研修にあたっている研究者や実践家を訪問してレビューしてもらうことについては、国内での学会発表時のレビューに止まった点は残念であった。研究協力者を起点とした今後の発信に期待しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
「数学的モデル化」の研究に関連する、「日常の事象」から始まる問題発見・解決の過程の研究は、今日の算数教育界で熱心に研究されており、2019年度に本科研で開発した「音符の問題」や「畑の問題」、あるいは、研究協力者によって開発された特設型の問題解決教材は、その典型的事例として評価されるものである。 本来の研究計画では、2020年度より授業実践研究へと進展させていくことにしていたが、研究代表者が所属する大学の学長に就任し、2020年4月1日より申請資格を喪失したため、補助事業廃止承認を申請したところである。 研究協力者を起点とした今後の授業実践および、さらなる教材の開発が期待されるとともに、各地区における算数教育に関する研究会において、本科研の研究成果を報告あるいは発信していくこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の未使用額が生じたが、2020年4月1日に福岡教育大学学長に就任し申請資格を喪失したため、使用の計画はない。
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