まず2019年度のハワイのエネルギー教育の調査では、エネルギー教育のテーマに様々な科学的・工学的・技術的な内容が現実の生活に役立つ形で学年進行とともに体系的なカリキュラムが形成されていた。2020年度の米国の新しい工学・技術スタンダードでは、初めてSTEM教育との関係がサブタイトルで示されて、章を立てて明文化された。その大半はSTEM4という4つの協議会の連合で作成された内容を踏襲するものであった。内容は数学、理科、工学、技術の各教科がそれぞれの独立性を保ちつつも、そえぞれの関係性を明確にして連携を深めること、学習者の将来の職業選択につながる構成であることが強調されていた。 この2年間の調査を踏まえて令和3年度は教育実践を試みた。中学校の技術学習において、材料・加工、エネルギー、および情報の学習内容を製作過程の中に組み込む教育内容を構成した。実施に当たって各過程の学習の意義を明確化することに留意した。この実践を通して 技術学習における学習者の数学的な内容の理解、理科的な内容の理解、工学的な内容の理解、および技術的な内容の理解を確実に把握する必要からLMS(学習管理システム)を用いて学習履歴を確認できるようにした。具体的にはMoodleのフォーラムや課題提出機能を用いて、学習者の学習状況を教授者と学習者の双方で確認できるようにした。毎時の学習の始めに前回の学習状況を確認し合うことで、本時の学習の準備状況の把握の一助とした。授業過程では工学的内容の理解において数学的理解や理科的理解が前提となること、それらを踏まえて技術的なアイデア創出が可能になることを確認できた。
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