研究課題/領域番号 |
19K02821
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
矢野 真 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (00369472)
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研究分担者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 木育 / 造形ワークショップ / 幼小連携 / 保育者養成 / 実践教材 |
研究実績の概要 |
本年度は、感性を育む「木育」による造形教材の具体的な研究と試行(計画・実践・評価)を第一の目標とするため、「木育」による造形教材の文献資料を収集し検討を行うとともに、国内の保育所・幼稚園を中心に調査を行った。それらをもとに、地域の幼稚園との連携によるワークショップの提案などを通して、感性を育む「木育」による造形教材の現状について、問題点の抽出と検討を行った。今回の調査は、過去に木育によるワークショップに参加した保育者を中心に154名の保育者へアンケート分析を中心に行った。 その結果、本実践の多くの参加者が、「木育」について保育に役立つと考えていた。また、多くの保育者が日々の保育において、多少は幼小連携を意識していることが窺われ、その半数近くの保育者は今回の活動が幼小連携に役に立つと考えていた。幼小連携を意識した「木育」活動のイメージの差異について、幼小連携を意識した保育活動を行っている保育者は、「木育」が特にコミュニケーションにとって有効であることを感じていた。そして、「木育」による作品づくりの幼小連携への効果を肯定的に捉えている保育者は、「木育」の効果や保育への導入について肯定的であり、また活動に対して自信を持っていると言えることがわかった。 「木育」による造形活動の幼小連携における可能性については、「経験・学びの連続性」「木育の教育効果」「能力の育ち」のカテゴリーに分けられ、幼小の経験の連続性や「木育」経験による感性を育てるなどの教育効果につながること、さらに学力に結びつく認知的能力だけでなく、その下支えとなる非認知的能力の育ちにも効果があると考えられていることがわかった。 また本調査と同時に、幼小連携につなげるための「木育」によるワークショップ(計9回)を行いながら教材研究も進め、次年度に向けた教材研究へとつなげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、感性を育む「木育」による造形教材の現状について、問題点の抽出と検討を行うことができた。 その結果、「木育」による造形活動の幼小連携における可能性について、「経験・学びの連続性」「木育の教育効果」「能力の育ち」のカテゴリーに分けられ、幼小の経験の連続性や「木育」経験による感性を育てるなどの教育効果につながること、さらに学力に結びつく認知的能力だけでなく、その下支えとなる非認知的能力の育ちにも効果があると考えられていることがわかった。 また、地域連携を通した「木育」による教材の開発について、「木育」によるワークショップを9回開催し教材研究を行った。そのワークショップに参加した保育者を目指す学生の学びから、地域への貢献とともに、「木育」による教材の作成や保育への応用、さらには小学校での技術的な指導のあり方を考えること、そして様々なコミュニケーションなど多くのことを学び、自己の技能や意識を向上させる結果が得られた。その結果は、日本世代間交流学会第10回大会における口頭発表(人と地域を結ぶ木育)や京都女子大学発達教育学部紀要 第16号(地域連携を通した木育教材の開発-木育ワークショップに参加した学生の学びから-)に掲載している。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は、これまでの問題点の抽出と検討に基づき、小学校教員への「木育」による造形活動の可能性について調査を行う。そして、研究1年目の調査とあわせて地域の複数の幼稚園・保育園、また小学校を中心に、「木育」をテーマとした造形教材についてのワークショップを企画・提案し、実践を行う。保育現場等における実践環境については、協力要請が済んでいる保育現場や小学校などとの連携を通したワークショップの提案及び調査を行いながら、幼児期の終わりまでに育まれた資質・能力を各教科等の特質に応じた学びにつなげ、子どもが新たな感性を育み、コミュニケーション能力を育成するための「木育」による造形の具体的な検討と試行を行う。 ただし、現状での情勢を考えると、実践については年度後半にならないと難しいことが予想されるため、幼小連携における「木育」、特に小学校で「木育」による造形活動がどのような力を育むことができるかということを踏まえながら、「木育」による造形教材の提案を進めていくことにより、後半の造形ワークショップの実践へとつなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
直接経費で旅費と計上していた分が、調査日程・内容等の関係上で次年度に繰り越さなければならない事情ができたため、次年度に繰り越し、研究代表者の旅費に計上することを計画している。
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