研究課題/領域番号 |
19K02821
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
矢野 真 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (00369472)
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研究分担者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
吉津 晶子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (60350568)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 木育 / 幼小連携 / 造形ワークショップ / オンライン動画 / 実践教材 |
研究実績の概要 |
「木育」による造形活動の幼小連携における可能性について、「経験・学びの連続性」「木育の教育効果」「能力の育ち」の観点から、幼小の経験の連続性や木育経験による感性を育てるなどの教育効果や学力に結びつく認知的能力だけでなく、その下支えとなる非認知的能力の育ちにも効果があることを念頭に、「木育」によるワークショップの実践を計画・検討していた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う対面による造形ワークショップの見直しを余儀なくされたため、急遽オンラインを用いた「木育」教材を計画・検討することへと変更した。 そこで、「木育」によるワークショップの実践を計画・検討する上で、「対面活動による造形教材研究」と、「オンラインを用いた造形教材研究」について、教材制作の実践に参加した学生の感想を比較し、さらに「オンラインを用いた造形教材研究」を実施する上で、対面活動と比較しながら教材についての分析を行った。 その結果、オンラインのメリットとしては、多くの人がどこからでも参加できること、視聴側が何度も繰り返し見ることや、収録の撮りなおしが可能であること、カメラならではの見せ方の工夫ができることなどが挙げられた。他方でデメリットとしては、対面と異なり反応が分かりにくくコミュニケーションが取りにくいこと、園や家庭(視聴側)の材料が限定されることなど、動画づくりの難しさなどが挙げられた。またこれらに関連して、オンラインにおける配慮として、コミュニケーションへの配慮や説明方法の工夫、また素材の工夫などの教材研究の必要性も挙げられた。また、オンライン配信におけるIT機器のスキルとして、カメラの使い方や撮る角度、声の出し方や編集方法などが挙げられ、こうしたことを再度検討しながら「木育」教材の制作を行う必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度、「木育」による造形活動の可能性について、幼小の経験の連続性や木育経験による感性を育てるなどの教育効果につながること、さらに学力に結びつく認知的能力だけでなく、その下支えとなる非認知的能力の育ちにも効果があることが明らかとなったことから、ワークショップを中心に実践研究を予定していた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う実践の見直しを余儀なくされ、地域の複数の幼稚園・保育園、また小学校を中心に、「木育」をテーマとした造形教材についてのワークショップを企画・提案し、実践を行うことができなくなった。この実践による検討ができなかったことが、やや遅れている理由である。そこで、急遽オンラインを用いた「木育」教材を計画・検討することへと変更した。しかしながら、この見直しにより、オンラインを用いた「木育」教材へと計画・検討し、新たな動画教材としての方策を得ることができた。「対面活動による造形教材研究」と、「オンラインを用いた造形教材研究」について、教材制作に参加した学生の意見を比較しながら、「オンラインを用いた造形教材研究」を実施する上で対面活動と比較した教材についての分析を行い、メリット・デメリットを明らかとし、「木育」教材を実践する立場から教材制作を行う方向性などが結果として得ることができた。 その結果は、日本保育学会大会第73回大会におけるポスター発表(幼小連携のための保育・教職実践における木育教材の開発Ⅰ)や京都女子大学「発達教育学部紀要」第17号(幼小連携のための保育・教育実践における木育教材の開発Ⅱ―保育者を中心としたアンケート調査の結果から―)、大学造形美術教育研究第19号(幼小連携のための保育・教職実践における木育教材の開発Ⅰ-「木育」による造形ワークショップの有効性-)に掲載しており、動画教材のフィードバックについては現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目は、これまでの問題点の抽出と検討に基づき、保育園、そして小学校教員と連携して実践し調査を行う。そして、可能な限り、地域の複数の幼稚園・保育園、また小学校を中心に、「木育」をテーマとした造形教材について、対面によるワークショップを企画・提案・実践を行う予定であるが、研究2年目の状況を鑑みて、動画教材を用いた「木育」ワークショップを中心とした企画・実践を行う。保育現場等における実践環境については、協力要請が済んでいる保育現場や小学校の先生方との連携を通したワークショップを通した「木育」教材の提案を行い、その教材について、保育現場や小学校の先生方のフィードバックをもとに動画の再検討を行い、幼児期の終わりまでに育まれた資質・能力を各教科等の特質に応じた学びにつなげる。そして、子どもが新たな感性を育み、コミュニケーション能力を育成するための「木育」による造形について、オンラインを用いた動画教材を中心に対面による実践も含めて具体的な検討・まとめに入る。これらは、「木育」教材としてまとめ、冊子・及びオンライン動画としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
直接経費で旅費やワークショップ予算を計上していたが、コロナ禍による調査や実践の延期により、次年度に繰り越さなければならない事情ができたため、次年度に繰り越し、研究代表者の旅費等に計上することを計画している。
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