研究課題/領域番号 |
19K02823
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
塚田 泰彦 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (50163762)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 語彙知識 / 語彙力 / 語彙指導法 / 語彙習得 / 語彙意味論 |
研究実績の概要 |
令和元年度(1年目)は、先に申請者が1960頃~2000年までの語彙教育理論の内外の研究成果を総括した実績(塚田・池上(1998)、塚田(2001))をベースに、その後の20年間の研究の進展状況を主要関連文献の収集・読解・分類作業によって再整理することを主たる研究内容として行った。 新規に入手した主要な英文の既刊図書8冊を概観し、主要な研究者とその業績を確認するとともに、語彙力育成の原理的側面に考察の中心を置いているNagy&Stahl(2006)を中心に内容の精細な読解と課題の洗い出しを行った。申請者が先に総括した内容の再検討も兼ねて、研究ハンドブック数冊の該当部分との対照から、「語彙知識」概念の多様性と指導上の困難点を整理した。とくに「語彙知識の深さ」の問題の重要性に鑑み、さらに踏み込んだ研究を行い、その成果の一部を学会発表した(第137回全国大学国語教育学会、同発表要旨集pp.211-214)。その要点は、これまでの語彙知識観が伝統的な構造主義言語学の枠組みに依拠している点での不十分さの指摘と、新たな語彙知識観を認知言語学(とくに認知意味論)の枠組みと成果に依拠して再定義することである。 語彙知識については「量と質」という視点の区別による「質の追究」が目下の課題となっているが、これに語彙知識の「広さと深さ」という視点で理解を深めようとしているところに、令和元年度のこの研究の独自性がある。 また、本研究は学習者の語彙知識の拡充と洗練を目的として行われている研究であり、令和2・3年度に学習者の語彙知識の習得過程を実験授業やアンケート調査でとらえる方法を「カテゴリー」概念の拡張の視点から模索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語文献(単行図書)の一部入手不可のために語彙知識論の原理面での情報収集に不十分なところはあるが、予定された主要著作の分析と内容整理は行われており、令和元年度内の進捗状況に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
2000年以降の20年間の語彙力育成原理にかかわる前年度の知見の分類整理をふまえて、語彙知識の拡充と洗練の過程を調査する。「カテゴリー」概念の認知意味論的枠組みを応用して、小学生の授業実践を通しての調査研究を計画している。調査対象校は全国の各所に分配して計画中であるが、新型コロナ感染拡大の影響で、調査計画の変更や遅延が生じるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部未入手の著作の購入によって生じた未使用分については、引き続き、相当額での購入(物品費)を継続する。主として調査関連費用として使用予定である。とくに全国で4か所の小学校での実験授業によるデータ収集のための旅費と消耗品費である。
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