研究課題/領域番号 |
19K02825
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研究機関 | 愛知産業大学短期大学 |
研究代表者 |
首藤 貴子 愛知産業大学短期大学, 国際コミュニケーション学科, 講師(移行) (60709814)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師の力量形成 / インクルーシブ教育 / 保護者 / 個別の教育支援計画 / 教育課程 |
研究実績の概要 |
インクルーシブ教育実現に向けて、教師には、子どもの教育的ニーズに応答する力量のみならず、個々の多様な教育的ニーズを学校全体の教育活動に昇華させる力量、いわばインクルーシブな学校づくりの力量が求められる。このような観点から、本研究では教師の専門的力量の内実を描き出すことをめざしている。初年度にあたる本年度は、主に2つの作業をすすめた。 (1)学校組織・運営における障害のある子の保護者の位置づけについて、文献検討をすすめ、研究課題を精緻化することをめざした。教育経営学研究および障害児教育研究の蓄積を整理しつつ、とくに「個別の教育支援計画」(以下、「計画」)の運用における保護者の位置について検討した。「計画」はその作成・活用に保護者との「連携」が重視され、「計画」に明記される教育的ニーズは教育課程に反映されるべきとの一致点は読み取れたが、それは個々の教師の授業づくりと学級づくりのレベルで捉えられていた。各学校の教育活動の全体計画としての教育課程に反映させるルートについて、具体的に検討する必要性が確認された。 (2)通常の学級に在籍する障害のある子の保護者および教師を対象にインタビュー調査を実施し、個々の保護者が発信するわが子の教育的ニーズがどのように当該学校の教育活動に影響を与えるか、について検討した。保護者対象調査として、A市を活動拠点とする障害のある子の親の会の協力を得て、アクションリサーチおよび個別のインタビュー調査を実施し、保護者の側からみた「計画」の意義や課題について検討した。教師対象調査では、B市・C市の小・中学校に勤務する教師から「計画」に対する意識や学校現場での活用実態等を聴きとり、当該学校の教育課程における「計画」の位置づけ等を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献検討を通して研究課題を焦点化しつつ、保護者と教師対象調査をほぼ予定どおり実施することができた。教師対象のインタビュー調査は愛知県内のみの実施を予定していたが、県外の教師からもデータを得ている。保護者対象の調査は、インタビュー調査に加え、親の会の活動の中でのデータ収集に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き理論的検討をすすめつつ、インタビュー調査の対象を拡大する予定である。保護者と教師のほか、学校内外の関係者、とくに子ども家庭福祉に関わる専門スタッフや事業者、行政機関等に調査対象を拡大し、「計画」運用における教師・学校との関わり等を聴きとり、保護者や教師の視点から語られる実態に福祉の視点を取り込むことをめざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査で得られたデータの整理について、補助的な作業をアルバイトに依頼する予定だったが、大部分の作業を自分で進めたため、アルバイトの人件費を抑えることができた。次年度、コロナ禍において対面での調査が制限されている間、文献検討をすすめる。よって、書籍代として使用したい。
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