2021年度は、昨年同様コロナ禍のためSDGs先進地域での森林環境教育の視察については実施できなかったが、前年度までに開発した授業展開例の改良と教員研修での実施、受講者アンケートの分析等を中心に研究を進めた。小学校での森林環境教育の主な学習活動を(1)樹木に親しむ、(2)森林のはたらきを知る(気候緩和、二酸化炭素固定等)とし、生活科、理科、社会科といった科目での学習内容と関連付けて前年度までに作成した授業展開例に改善を加え、三重県農林水産部・三重県教育委員会主催の教職員対象森林環境教育研修「学校で取り組むSDGs ~校庭の樹木の活用法~」において実践した。受講者アンケートでは、小学校教諭から「校庭の木という子どもたちに身近なものから、環境、森林教育を始められるのが良いと思った」、「理科や社会の授業で実践できる」といった記述が得られたほか、中学校教諭から「現状では学校での取り組みは難しいと考えていたが、普段の授業に組み込む形なら学校でも可能と思う内容だった」、幼稚園教諭から「森林や木と親しむという部分は保育に取り入れられると感じた」などの記述が得られ、本研究で考案した森林環境教育プログラムは、校種・学齢に関わりなく活用できるものとなっていると考えられた。 一方で、森林に親しみや関心をもつ児童が増加するようになるには、子どもたちに自然の面白さを体験によって伝えることができる教員の養成が重要であると考え、これまで教員養成学部と地域の幼稚園との連携による環境教育にも取り組んできたが、その成果として、紀要論文を1本発表することができた。
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