研究課題/領域番号 |
19K02866
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
堺 完 大分大学, アドミッションセンター, 講師 (10803330)
|
研究分担者 |
山崎 慎一 桜美林大学, グローバル・コミュニケーション学群, 助教 (10636674)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 卒業生調査 / 短期大学教育 / 教育効果の可視化 / 短期大学生調査 / 大学評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、短期大学における教育経験と成果が、卒業後の社会生活においてどのような影響や効果を与えているかについて、卒業生への量的・質的アプローチによる調査によって明らかにすることである。 2019年度は量的なアプローチである、短期大学卒業生調査の開発及び試行版の実施を計画として進めた。試行調査の趣旨に賛同した5短期大学の協力のもと、2019年7月から8月にかけて、各短期大学から卒業生に郵送にて依頼し、QRコードを読み取ってウェブアンケートによって実施した。その結果総数1575名に対して卒業生調査の試行調査を依頼し、235名(14.9%)の回答(率)を得た。ウェブアンケートは多肢選択と自由記述により行い、主な内容としては短期大学の満足度や教育の成果の実感、現在の就業状況、短期大学への要望などで構成されている。調査結果の概要としては、満足度については回答した卒業生の8割以上が高い評価をし、また教育の成果の実感については、「一般的な教養」や「コミュニケーション能力」、「専門分野や学科の知識」の順に9割前後が役立っていると回答した。就業状況については卒業直後と現在で業種や就業先が変わっている回答者は2割もいなかった。 また試行調査実施後の2019年9月から10月にかけて、参加協力校の担当者への聞き取り調査を実施し、調査内容や実施方法の課題点、各協力校の集計結果のフィードバック方法を尋ねた。その結果、実施方法について特段問題が指摘されなかったが、短期大学の金銭的なコストがかからない方法での継続的に実施して欲しいといった要望があった。調査内容については、調査データや集計結果だけでは必ずしも教育内容の改善にはつながらないため、自由記述を増やし具体的な教育の問題点や課題を把握できるようにしてほしいといった要望が挙がった。加えて調査データを手間なく可視化するような支援の要望が寄せられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の1年目は短期大学における卒業生調査の開発及び試行版の実施を計画していたが、おおむね順調に遂行できている。調査体制を整え、2019年7月から8月に調査を実施している。また実施後に、各協力校の担当者に対して、試行調査の問題点を洗い出すための聞き取り調査を実施し、次回の卒業生調査に向けた改善に着手している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目には質的アプローチとして、1年目の試行調査に回答した短期大学卒業生を対象にインタビュー調査を実施する。卒業生に対するインタビュー調査は、試行版卒業生調査に回答し、さらに短期大学在籍時に短期大学生調査を受けた経験がある者を主たる対象とし、2~3の短期大学から各2名程度、対面による聞き取り調査を2時間程度予定している。インタビューの内容は、現在の状況等のインタビュー対象者の基本的な情報をはじめ、現状に対する短期大学教育の成果の実感についてや、短期大学生調査の結果とインタビュー対象者の認識の相違、卒業後に気付いた短期大学教育の課題と就業後の支援ニーズ等である。ただし、新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、対面によらないオンライン面接調査に変更する可能性がある。 また試行調査実施後の参加協力校担当者への聞き取り調査でニーズとしてあった、卒業生調査データの可視化を支援するコンテンツの作成についても適宜作業を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2年目に計画している短期大学卒業生に対するインタビュー調査の事前打ち合わせとして、2019年度末に短期大学1校を訪問予定であったが、新型コロナウィルス感染が広がりを見せ始めたため、訪問を延期し、当該年度の旅費として使用できなくなったため。 当該年度の差額分については、次年度以降に延期になった短期大学への訪問調査の旅費として使用を計画している。
|