研究課題/領域番号 |
19K02866
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
堺 完 大分大学, IRセンター, 講師 (10803330)
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研究分担者 |
山崎 慎一 桜美林大学, グローバル・コミュニケーション学群, 助教 (10636674)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卒業生調査 / 短期大学教育 / 教育成果の可視化 / 短期大学生調査 / 大学評価 |
研究実績の概要 |
2020年度は前年度に引き続き、量的アプローチである短期大学卒業生調査を実施した。この調査は大学・短期大学基準協会調査研究委員会卒業生調査研究開発プロジェクトの一環として行われているものである。参加校を限定した2019年度の試行調査とは異なり、2020年度調査は協会会員校全体に参加募集をかけ、その結果45短期大学の申し込みがあり、9560名の卒業生へ調査依頼をすることとなった。調査は2020年7月から8月にかけて、各短期大学から卒業生に郵送もしくはメールにて依頼し、QRコードを読み取ってウェブアンケートによって実施した。その結果1928名(20.2%)の回答(率)を得た。 調査結果の概要としては、短期大学の教職員や教育内容といった短期大学の評価については、回答した卒業生の8割以上が肯定的な評価をし、また教育の成果の実感については、「専門分野や学科の知識」「ほかの人と協力する力」「一般的な教養」「コミュニケーション能力」の順に8割以上が役立っていると回答した。短期大学教育を通じて取得した免許・資格等の職業上の活用状況については、回答者の7割が活用、2割が活用していないといった結果であった。短期大学で学んでよかったかについては96%があった答える一方で、在学中を振り返ってさらに学びたかったことや改善してほしいことがあるかについては、4割が教育の改善や充実を望んでいるという結果であった。 調査参加校への回答データや調査結果のフィードバックに関して、個別短期大学と全体結果の比較や個別短期大学内の卒業年度比較といった調査結果の可視化を支援する取り組みも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は量的アプローチである卒業生調査に加えて、質的アプローチである短期大学卒業生に対してのインタビュー調査及び短期大学関係者への聞き取り調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大により参加協力が得られている短期大学及び卒業生が居住する地域への訪問調査の実施が困難となり、2021年度以降に順延することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は前年度実施できなかった短期大学卒業生へのインタビュー調査、その卒業生の出身校である短期大学の担当者への聞き取り調査を行う。2~3短期大学から各2名程度、対面による聞き取り調査2時間程度を予定しているが、インタビュー対象者の意向によってはオンラインによる調査方法に変更するなど、実施方法については新型コロナウイルス感染拡大状況により引き続き検討を行う。インタビュー内容としては、就業経験を踏まえての短期大学教育の成果の実感についてや、在学時と卒業後での短期大学への評価、卒業後に気付いた短期大学教育の課題と就業後の支援ニーズなどである。卒業生への調査後に、インタビュー結果についての所感や教育改善等への活用可能性について、短期大学の担当者に別途聞き取り調査を実施する予定である。 量的アプローチである卒業生調査については、試行調査を含めて3回目の実施を予定していることから、3年分の経年比較を行う。またこれとは別に当初の研究計画に沿い、在学者を対象とした短期大学調査と同一設問によって構成されている部分を比較するなど、2つの量的調査結果を用いて在学及び卒業後の2時点での短期大学教育への評価をどう取り扱っていくかなど検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していた短期大学卒業生及び短期大学関係者へのインタビューが、新型コロナウイルス感染拡大により訪問調査することが困難となったため、当該年度での実施を見送った。それに伴い複数の短期大学への訪問費用としての旅費とインタビューに応じた卒業生への謝金として計上していた経費への支出もできなくなった。 これに以外に、研究成果の発表を予定していた学会の中止やオンラインによる開催方法の変更により、大会開催地への旅費、大会参加費としての費用についても支出できなくなった。 当該年度の差額分については、2021年度内に訪問調査が可能になった場合に、その費用として使用することを計画している。
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