| 研究課題/領域番号 |
19K02869
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| 研究機関 | 東日本国際大学 |
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研究代表者 |
関沢 和泉 東日本国際大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90634262)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 高等教育論 / 大学改革 / 高等教育開発 / イタリア / アジャイル / ニューパブリックマネージメント |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、日本と状況が一部類似するイタリア――異なった伝統を有する英米圏の改革をモデルとし「大学改革」を進める――の状況を調査し、日本の状況と対比することで、日本の今後について何らかの視座を得ることを目的としている。
前年度までの調査で、イタリアでガバナンス改革とともに柱となった認証評価が高度にシステム化され、また研究評価システムの構築が進む一方で、学生への聴取も重視されることを確認したが、実際は伝統的に学生の側も「教え方（教えられ方）」については注意を払ってこなかったという状況があることが分かった。調査を進めた結果、教育学の枠組みのなかでの活動やその先がけとなる活動はあったものの、（高等）教育開発者（いわゆるファカルティ・デベロッパー）の専門家団体AsdUniが成立したのは2018年と遅く、日本も教育改善の活動は遅れたというものの、それともまた異なったバランスの置き方で研究・教育・社会貢献の「改革」が進められてきたことが明らかとなった。
また、新型コロナ以降、日本でも、それ以前から行われてはいたもののデジタル変革（DX）への流れが強まったが、イタリアでも同様の傾向が進みつつある。ただこうしたDXは、公共セクターにおいて実施される場合でも一般にアジャイル的な開発と相性が良いものとされ、近年構築が進められてきた目標設定とその達成とその改善サイクルを組み立てていく内部質保証と認証評価による質保証とは相いれない側面がある。他方で「PDCAサイクル」の強調は現場で行われている（行われ得る）改善の実際とずれるのではないかという議論において想定されている改善のあり方とアジャイル的開発は似ているところがあるため、イタリアと日本における「大学改革」とは何であり、うまくいかない点については何が要因かを描き出すための参照点として若干の分析を進め成果を国際研究会等で共有した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
後半は新型コロナウイルス感染拡大の影響も収まりつつあることで、ようやく文献調査以外の調査も進めやすい状況となったが、研究計画時はまったく想定していなかったことでもあり、現地調査については難しい状況がここまで続いた。
しかし本年度も、文献調査を中心とした調査は順調に進んだだけでなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響の副産物として、現地での高等教育改革関連の活動がこれまで以上にオンラインのかたちで展開されたこともあり、文献調査とは異なったかたちで、改革の現状や影響について捉えることが可能となった。
加えて、イタリアでも日本と同様に新型コロナウイルスへの対応過程で、高等教育政策上デジタル変革（DX）の優先度があがった印象があり、従来からの「大学改革」とそれらがどのように接続されていくのかについて、その調査の土台を構築する必要があり、本年度はその点で当初の計画とは異なった調査が必要となった側面がある。
以上のような点から、やや遅れていると判断し、また本課題については2年目から新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けていることもあり、最終的にさらに1年延長し、これまでの研究成果をまとめることとした。
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| 今後の研究の推進方策 |
個別のトピックとしては、本年度、イタリアの「大学改革」では教育改善の要素は、遅れているといわれてきた日本に対しても、より遅いタイミングで前面に出てきたように思われることを確認した。実のところ、教育成果のパフォーマンス測定といった課題も2020年代に入り、急速に主題化したように思われるため、実際にそうであるかについて検証が必要である。
またイタリアの特徴として、芸術関係の高等教育の評価が大きな要素としてあるため、こちらについても、日本での参考となるような何らかのまとめを行いたい。
イタリアで「大学改革」がどのように受け取られてきたかについては、最終的に何人かを対象とした質的調査としてでも要素として組み込むことを検討している。現地と声を交換するという点については、オンラインでの国際研究集会といった方法も含め検討しているところである。
以上の個別のトピックはあるが、全体としては、最終年度として、これまでの調査を集約し、日本での参考とできるかたちにまとめていくことを行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
後半はほぼ正常化したものの新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、現地調査に予定していた旅費部分を使用しなかったため。
次年度に現地調査かオンライン調査のかたちで予定していた内容を実施することとする。
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