研究課題/領域番号 |
19K02870
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30379028)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遠隔 / 肯定的側面 / 相手の立場 / 多様な価値観 / 想像 / 探索 |
研究実績の概要 |
コロナ禍にあり、教養教育科目としてのサービス・ラーニングもオンライン・遠隔を主とする取り組みとならざるを得なかった。そのような状況において、オンライン・遠隔を主とする取り組みの肯定的な側面に着目した分析を行った。 その結果、大学教育全体的な調査や教養教育科目(のアクティブラーニング)での調査、オンライン(VMC)での専門教育科目での学修、専門教育科目としてのサービス・ラーニングのオンライン化についての調査などに比べ、通ずる所がある一方、少々異なる学習の特徴が見られた。 「異なる学習の特徴」については、たとえば次のようなものがあった。【身に着いた資質・能力】については、「情報リテラシー、情報モラル」「リーダーシップ、チームワーク」「コミュニケーション」「知識間の関連づけ・統合」「主体的に学習する姿勢、主体的な学習の意義の理解」などが見られた。そして、【学生同士のオンライン・コミュニケーション】については、<困難>な点として「一体感・存在を感じられない」が見られた一方で、<良い点>として「作業を進めるだけなら効率よく進む」が見られた。 また、オンライン・遠隔での学習のメリットが活かされる場合にはどのようなことが影響しているのかを検討したところ、「教員のもつ「相手の立場・多様な価値観を考える姿勢」に影響を受ける」「遠隔で「対面で会えない」こと、想像で考えるという難しい状況だったということ、そして「通信」と「ハガキ」という「リアルタイムではない」コミュニケーションだったこと等により、じっくりと時間をかけ、「対面で会える」時とは異なる世界を想像し、自分からの見え方をストップして相手側からの見え方を探索的に理解しようとする姿勢が強まる」等の影響が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載したような進捗が見られた。 一方、コロナ禍にありオンライン・遠隔での取り組みが主となったことにより、サービス・ラーニングの重要な一面である「現場」性が薄くなったことが課題である。 しかしながら、オンライン・遠隔だからこそ意味を持つ側面にも気づいたり、少しずつではあるが、現場に実際に出かけることができるようになってきたりもしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2021年度に得られた知見をもとに、さらなる事例検討を重ねていく。そして、授業を再設計・実践し、そこで得られる知見をさらに分析する(デザイン研究を展開する)。 現場に出かける活動もより多く実施できる見込みが立っているため、サービス・ラーニングの意義を丁寧に見出していく。その際は、オンライン・遠隔で見いだされた特長を活かしながら、対面・現場での活動がさらに充実していくような方法について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり、取組に制約が生じたため、旅費をはじめとする諸経費が必要な活動が行えなかった。 次年度は、活動の制約も少し緩和され、対面での活動が可能となる程度が増加するため、2021年度にできなかった活動も含め、充実した取り組みを展開したい。 そのために、現場に行っての打ち合わせや調査、収集したデータの分析・管理、参照する文献資料、学会・研究会での発表や情報収集等を行っていく。
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