昨年度に実施した親子対象の防災イベント「宇宙×防災でわくわくする世界を」に関して、企画・実施を行った学生団体sobolabのメンバー5名のレポートの分析を行った。企画開始から実施までの約1年間の過程において、各学生はそれぞれ当該イベントに対して強くコミットする時期とそうでない時期があったことがわかった。すべての学生が「各メンバーへの尊敬と信頼」に言及していた。自分の役割の自覚を言及している学生も多かった。今回の企画以前に、同じメンバーですでに別企画のイベントの開催経験があったことが、企画の成功に重要な役割を果たしたと思われる。 一方、専門家による小中学生を対象とした防災出前授業については、これまでに取得した調査データに基づいて、宮城県および福島県の沿岸部と内陸部の4地域での教育効果の比較、静岡県の科学館でのワークショップの効果検証、および静岡県の沿岸部と内陸部の小学生と中学生の教育効果の比較を行い、論文化を行った。前二者については、すでに学術誌での査読が終了し、Web公開済または印刷中である。 期間全体を通じて、大学生による多数の防災教育プログラムが開発された。学校訪問型防災出前授業もあれば、集客型防災イベントもある。感染症対応も含んだプログラムもある。以上のような多種多様の防災教育プログラムを蓄積できた。こうしたプログラム開発において企画メンバーがどのようなプロセスを経て授業やイベントを構築していくのか、そのプロセスに影響を及ぼす要因は何かを検討・考察することができた。また、本研究成果を書籍の1章にまとめたり、国際セミナーで講演を行ったりして、広く発信することができた。一方、専門家による防災出前教育については、同じ教育プログラムが学校の立地特性や対象者の学齢差によってどのように効果が異なるのかを精緻に分析・検討し、複数の査読付き論文にまとめることができた。
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