研究課題/領域番号 |
19K02881
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
明谷 早映子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (90820598)
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研究分担者 |
岡 明 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00251273)
伊藤 伸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90520883)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 利益相反マネジメント / 研究インテグリティ / 産学連携リスク / 大学発ベンチャー / 経済安全保障 / 研究リスクマネジメント / 組織ガバナンス |
研究実績の概要 |
2021年度も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、米国研究機関での現地調査や学会発表の機会を通じた情報収集に遅延が生じた。しかし、研究代表者が、米国大学の研究マネジメント人材が集う学協会であるNational Council of University Research Administrators(NCURA)のCollaborate Compliance Community Working Groupのメンバーに選出されたことにより、大学の実務担当者との定期的なコンプライアンス・リスクマネジメントの課題検討やピアでの議論の場を創出することができた。 2021年度後半は、岸田政権で議論が本格化された経済安保対策の重要性にかんがみ、大学の研究インテグリティ・研究セキュリティの観点から調査・分析・検討を行った。2019年度にハーバード大学で現地調査を実施した時点では、海外政府や機関が米国研究者に不当な働きかけが米国連邦政府が支援して創出した研究成果や知財の漏洩に繋がる点について強い懸念が示され、対策が検討されはじめた時期であった。現時点の日本の状況として、公的な資金配分機関や個別の大学・研究機関によるポリシーの策定や組織ガバナンス・スクマネジメント体制の構築、リスクの把握・評価・対処の実践は十分でなく、リスク・ベースドな対策を立案する際の基本姿勢等は明らかでなく、国内での対処に必要な情報が不足している。そのため、2018年から特に活発化している米国の動きを分析してリスト化し、網羅的な解説を加えたポリシーレポートを研究 技術 計画誌にポリシーレポートとして投稿し、すでに公開されている(Vol. 37, No. 1, 101-116, 2022)。 また、大学と大学発ベンチャーとの連携を始めとした産学連携のリスクマネジメントに関連した2019年度から2021年度までの研究成果は、査読ありの国際学会である7th World Conference on Research Integrity(南アフリカCape Townにて開催, web参加)で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響は受けたものの、本研究が、米国大学でコンプライアンス業務に従事するピアとの研究リスク・コンプライアンスの新しい議論の場の形成や、他大学への知見の提供につながり、研究そのものが発展している。
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今後の研究の推進方策 |
2019-2021年度までの研究を更に発展させるとともに、大学や学協会での議論の場の形成を通じて、本研究の研究成果を、大学教職員、研究マネジメント人材であるURA、大学インハウス弁護士等が実務に使える形で普及させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で海外出張ができなかったが、2022年度使用額は、調査費用のほか、本課題の研究成果を海外で開催される学会(web参加)や国内で開催される学会での発表、ピアでの議論の場の創出に用いる。
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