研究課題/領域番号 |
19K02883
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
大前 敦巳 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50262481)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高等教育 / 歴史社会学 / 日仏比較 / 高等師範教育 / 首都圏 |
研究実績の概要 |
本年度も、パリと東京の女子高等師範教育を中心に、卒業生名簿などの一次資料を用いたデータの構築と分析を試みたが、新型コロナウィルスによる移動制限の影響により、日仏ともに大学図書館等で必要な資料収集を行うことができず、成果発表にいたることができなかった。この研究課題については、期間延長の申請を行うことにより、次年度に継続して取り組むことにした。代わって、これまで二次文献に基づいて整理してきた戦前期における日仏の高等師範学校の拡張過程について、フランス語で研究ノートを執筆し、『日仏教育学会年報』に掲載された。また、今後の研究の展開を見込んで、日仏の首都圏における高等教育拡大に関する総合的な比較の試論を企て、オンライン学会発表を行った。そこではパリ・東京ともに計画通りに実現しなかった複雑な利害関係の中で、大学の都心一局集中と郊外への移転が進んでいった歴史を再構築し、各国・各都市で固有に形成された学問的な空間や文化を省察することの意義を議論した。加えて、パリ地域圏において戦後1950-60年代の都市計画の時代を経て、70-90年代の経済危機に伴う停滞期から、それ以降に再び一局集中が進んでいった大学の発展に関する、ロイック・ヴァドロルジュ氏の論考を日本語に翻訳した。さらに、フランスの高等教育改革とバカロレア試験改革に関する新刊図書2冊の書評原稿を執筆し、故中嶋明勲氏の主著『フランス教育社会学研究』に関する「古典再訪」原稿を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2年以上にわたる新型コロナウィルス感染拡大の影響により、フランスの渡航調査を行うための外国旅費を使用することができず、また国内においても大学図書館等での閲覧が制限されたため、研究に必要な一次資料を十分に収集することができなかった。学会発表や論文執筆等の成果発表も十分に行うことができなかったため、期間延長を申請し、次年度も継続して本研究課題に取り組むことにした。招聘を予定していたロイック・ヴァドロルジュ氏の講演については、オンラインによる講演に切り替えて日本語に翻訳した原稿を代理で読み上げ、その後にご本人にオンライン上で参加いただき、フランス語・英語によるディスカッションを行うことになった。
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今後の研究の推進方策 |
期間延長をした令和4年度においては、国内での移動制限が解除され次第、夏休み中に集中的に大学図書館等で一次資料の収集を行い、データの構築と分析を急いで成果発表につなげていく予定である。また、海外渡航が可能になれば12月または1月にフランスで研究発表と現地資料収集を兼ねた渡航を行い、年度末に最終報告書を作成してそれまでの研究成果を集録し、関係者に送付する計画を立てている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度まで予定していた外国旅費(フランス研究発表・研究者招聘2回分)、国内旅費(学会発表2回分)、科研最終報告書印刷費を使用することができなかったため、期間延長申請をすることにより、次年度に未使用額分を外国旅費(フランス研究発表1回)、国内旅費(資料収集・学会発表2回)、科研最終報告書印刷費、および図書等の購入費として使用する計画を立てている。
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